2021年にシリーズAラウンド5億円の資金調達を実施し、その後1年半で事業と組織の拡大が加速している注目の宇宙ベンチャー、株式会社スペースシフト様。
一度は「副業人材の活用は、自社には合っていないかも」というケースに出逢いながらも、今では「いなくてはならない存在」にまでなった副業AIエンジニアの活躍について、事業開発部 部長 川上 勇治様にお伺いしました!
この記事はインタビュー後編です。前編はこちら。
スペースシフトが加速した2021年の資金調達後の組織
ーースペースシフト様が解析されているデータは、どのようなお客様に活用されているんですか?
いくつかありますが、人工衛星というのは同じ軌道をずっと飛んでいて、同じ場所から同じ角度で定期的に地上の写真を撮ることができると。そうすると、それぞれの電波の差を取ることで、地表面が沈降しているとか、隆起しているとか、そういった変化や状況がミリ単位でわかるんです。これはイタリアの技術を持っている企業と提携して進めているサービスなのですが、これを電力会社様の発電所のモニタリングに使って頂いてたりしてます。そのほかにも地下工事のモニタリングやインフラ系のサービスなど、多岐にわたります。
ーーなるほど。創業以来、スペースシフト様はどのようにして現在の事業展開に至ったのでしょうか?今の組織体制とあわせて、教えていただけるでしょうか。
創業自体は2009年なのですが、もともと社長が一人でやっていた会社だったんです。2021年に5億円の資金調達をして、私もそのタイミングで呼ばれました。私がジョインした当初は、まだ役員が3人だけの会社でした。
今は、社員が16名、役員や監査役まで含めると約20名。そして、インターンが50名という体制です。2年で、3人の会社からそこまで大きくなりました。
ーーインターンの方が50名! どういったことをされている方が多いのでしょうか。
ほとんどが理系の学生や大学院生、カンボジア、ポーランド、ルクセンブルク、ドイツ、スイス、アメリカなど、海外からもインターンで参加している学生もいます。大学で宇宙について研究していたり、数理系の学生もいます。でも、それに限らないですね。別に理系でもなくて、宇宙に興味があってぜひやりたいという方も。
ーー社員の方の役割は?
ほとんどがAIエンジニアです。10名くらいのAIエンジニアが在籍しています。またSAR衛星の専門家や、リモートセンシングの専門家が役員にいるんです。リモートセンシングというのは、衛星の情報から地表の状態を直接触らなくても見る、というような技術です。それらのメンバーを中心に開発チームを組織しています。
副業メンバーも世の中に出るような仕事をするのが、スペースシフト流
ーー2人の副業メンバーが具体的に何をしているのか、教えていただけますか?
一人の方は、キャベツなどの農作物の生育状況を解析するようなAIの開発をしています。この副業メンバーは開発リーダーのような形で、彼の下にインターンのチームがついていて、ディレクションも担っています。キャベツ畑のこういうデータを切り出してデータセットを作りましょうとか、どういうモデルを作ったら良いかのプランニングをして、実際にモデルを作ってくれています。
JAXAと電通の取り組みにスペースシフト参加–農作物の衛星データを解析
それが、実はこちらの記事に掲載されている取り組みなんです。JAXAと電通さんと弊社とで、衛星データを使った農作物の実証実験事業を進めているんですが、副業メンバーの作ったモデルも利用予定です。
もう一名の副業メンバーの仕事も紹介します。こちらの記事をご覧ください。
スペースシフト 経済産業省及びNEDO主催「NEDO Supply Chain Data Challenge」のシステム開発部門(災害)で1位、アイディア部門で2位を受賞
経産省の主催している賞のシステム部門一位、というのが出ていますけれども、このシステム部門というのはただのビジネスコンペではなくて、実際にシステムを作るところまでしなくてはならないんですが、このシステムの重要な部分を作っているのが、その副業メンバーです。
これは、災害時の被害状況を、衛星データを活用してモニタリングできるシステムです。副業メンバーが担ってくれたのは、このAPI部分の開発です。
実際に副業メンバーが活躍してくれているものが世の中に出て行っている、というのはすごく良いことです。そして同時に弊社では副業メンバーであっても、こういった仕事をおもしろがってくれる方でないと続かない、というのはあるかもしれません。
ーー逆に副業メンバーであっても、意欲の高い方がきた場合にはここまでの仕事に関わることができるんですね。
その辺りに、雇用形態による垣根はありません。もちろん働き方によって、フルコミットできないとか、コミュニケーションスピードが落ちるといったことはあると思うんです。でも、今きていただいている副業メンバーはコミュニケーションスピードもそれほどギャップがあるわけでもないし、パフォーマンスもすごく高くて。スキルを持った方であれば、時間ではなくて効率的に成果を上げるという方法もあると考えています。
最近はJAXAも副業OKになっていて、組織内ではできないことも弊社で副業という形で叶えられるかもしれません。副業という働き方にますます期待をしています!
1年半で5~6倍へと急拡大。「求めるレベルは高い」人材採用の基準
ーー2021年の資金調達以降、約1年半で5−6倍という急拡大中のスペースシフト様ですが、どのような採用活動をされていますか。
実はスペースシフトは、採用活動にエージェントを使っていません。基本的にはリファラルです。知り合いや、業界の中で優秀な方に直接アプローチする方法で、弊社にお招きすることが多いです。あとはWantedlyでお声がけする。毎日スカウトメールを送りまくっています。
ーー御社で大切にされている人材要件はありますか?
一番は、弊社の企業理念にマッチした方を探すことです。
そしてチャレンジ精神。ご自身で積極的にいろんなことを学んで実践していこうという姿勢。そしてコミュニケーション。人間性は大事ですね。
ーー宇宙ベンチャーというと非常に専門的ですが、専門的な知識などは求められないのでしょうか?
専門性、キャリア、知識や経験というものももちろん重要なことではあるんですが、弊社で求める能力って、「人工衛星」の知識、「AI」に関する知識、「IT」の知識、そして世の中にまだないビジネスですから、ビジネスのスキームを設計して取りまとめていくような上流工程をやり抜く力。そんな能力を揃えた方なんて、正直なところ、いないんですよね。
いない人を求めても仕方ありませんから、ではどうするか。そういった知識や実践力を、躊躇なく吸収して実践していけるようなポテンシャルを持っている方を探すことに、私たちは注力しているんです。「吸収していくことができるかどうか」、これが重要だと。
一方で、求めるレベルが非常に高いというのも確かではあります。なので、結果として非常にレベルの高い方が入ってきているのも事実です。条件に入れているというわけではないのですが、全員英語をしゃべれますし、学歴の高い方も多い。キャリアとして大企業の経験を持つ人も多いです。
熱量の高い組織が目指す、今後の展開は?
ーー組織の熱量が本当に高いですね。採用の基準もハードルが上がっていきませんか?
基本の方針としては変わらないです。まだ10数名ですし、組織はどんどん拡大の予定ではありますが、組織・体制づくりとセットで考えていかなくてはいけないと思っています。優秀な人がどんどん入ってきて、教育やオンボーディングの社内体制や仕組みづくりを並行して進めているところです。エージェントに頼る採用じゃなくてもいい人が入ってきてくれているので、今後も同じようにやっていければと思っています。
ーーこれから1年、あるいは2年3年と、どのような展開を考えていらっしゃいますか?
2021年初めにシリーズAラウンドの資金調達をし、ちょうど2年になりますから、そろそろシリーズBに向けての準備が進んでいくことになります。
そして、もう一方では海外展開を進めていきます。すでにアメリカには法人登記しており、ヨーロッパ展開も考えています。ルクセンブルクの新聞に「日本の宇宙ベンチャーがくる!」と書かれたこともあり、現地で期待されているようです。ぜひ実現するように頑張って進めていきます!
AIの開発など基礎技術の開発を進めてきましたが、その社会実装がますます進むのも、2023年になると思います。大型のPoCや大企業との連携、新サービスの展開など、進んでいくと思います。今後もたくさんリリースが出ると思いますから、ぜひ期待していただければ幸いです!
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後編をお読みいただきありがとうございます!前編はこちら。
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最後までお読みいただきありがとうございました。