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採用の募集作業はシューマツワーカーに丸投げ! 手間なく、プロ人材を獲得
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2019.08.08
2021.03.11
住まいや旅行、仕事といった多岐にわたるライフメディアプラットフォーム事業を展開する、株式会社じげん。2018年に東証一部への市場変更・20件近いM&Aの実施に伴う体制変更を経て、社外人材の活用が進み、今では外部のプロ人材の比率がかなり高い部署もあるという。前回の人事部インタビューに引き続き、今回は、じげんの2つの組織の責任者を兼務する今井良祐氏に、現場目線での副業社員登用の成果や活躍してもらうための工夫について、お話を伺いました。
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—— 早速ですが、副業人材を採用するに至った背景はどんなものだったのでしょう?
今井氏:一番は、マーケティングを軸に組織全体を見ることができるマネージャー人材がほしかったことですね。私が事業責任者を務める住まいDivisionは大きく分けてセールス・マーケティング・エンジニアなどの3つの部門で構成されているのですが、マーケティングのマネージャーが不在で、私自身が事業責任者をしながらマーケターのマネジメントを担っている状態でした。
それに加えて、セールスの強化を図るため、営業戦略を立て直す必要がありました。営業メンバーを半年間で倍程度に増員したのですが、業績が思うように上がらなかったんですね。第2新卒を採用したので営業方法をシンプルにしたのですが、結果としてそれがうまくワークしなかった。そこで、マーケティング部門のマネージャーと営業戦略の立て直し、その両方を任せられる人材を探していたんです。
最初は正社員採用で募集をかけていましたが、一年半経っても内定すら出せていない状態でした。「そもそもマネージャークラスの人材が転職市場に出回っていないのかもしれない」と思い、採用チャネルを変えて外部人材に枠を広げた矢先に、Aさん(現在住まいDivisionに業務委託マネジメント人材として参画)と出会うことができました。
今井氏:Aさんは35歳の男性で、もともとベンチャー企業で事業責任者をされていた方です。情報検索サイト会社のSEO担当からスタートし、広告運用を経て事業推進を推進された後、複数の企業で事業責任者を経験されていました。当社は営業戦略にマーケティングが大きな役割を担っています。そこで、マーケティングを活用した営業戦略を描いていただいています。
じげんでは週3日で勤務していただいており、2日は基本的に出社で、1日はオンラインでの勤務となっています。勤務日外であっても、連絡自体はslackで常に取れる状態ですね。
—— 採用されて4ヶ月が経つそうですが、どのような変化がありましたか?
今井氏:数字で見えるところで言えば、営業戦略を立て直すことで歩留まりが改善され、営業成績が約2倍に上がりました。数字では見えづらいけれども大きな効果として感じている部分では、メンバーの営業スキルが向上したことです。それまでの決まったストーリーで販売する方法から、顧客に合わせて販売するソリューション型の営業ができるようになりました。1ヶ月目で戦略の策定、2ヶ月目で組織への浸透、3ヶ月目から全体的な結果が出はじめた、といった流れです。
—— 1人の外部人材の方が、大きな影響を与えた事例ですね!営業メンバーのマインドの変化はいかがですか?
今井氏:劇薬だったようで、すっと適応できたメンバーと少し時間を必要としているメンバーがいますね。それ自体は、人事や、現場のマネジメント側でフォローすべきことだと思っていますし、組織の成長痛みたいなものだと理解しています。ただ、ついていっているメンバーに関しては能力が飛躍的に向上し、仕事に対するスタンスや行動が大きく変わってきたと思います。目を見てもわかるくらい、違います。
—— 副業人材を上手に活用するために、企業がすべきことは何だと思われますか?
今井氏:Aさんが社員からどう見えるかが、課題感の1つでした。ある日突然、外部からマネジメント人材が入ってくるわけですから、社内の人間にとっては、自分たちのキャリアがなくなってしまうのでは?といった焦りや戸惑いがあったようです。そこに対し、どのような役割で入ってもらい、どのような役割を果たす人材であるのかということをメンバー達に丁寧に事前周知する作業は必要でした。
その後は、メンバーから信頼を得るために、Aさんに伴走しながら、早期に結果を出してもらうことに注力しました。最初のミッションはとにかくシンプルかつ明確にして、「1ヶ月で、この領域でこれだけ結果を出してください」みたいなイメージです。
—— 副業人材に対して懐疑的な方もいらっしゃるので、ファーストインプレッションって本当に大切ですよね。1人目がうまく機能しないと、「副業=NG」というイメージをもたれてしまいかねないので、シューマツワーカーでも、1人目のご紹介や業務定義には、特に気を使っています。
今井氏:1人目ということもあったので、そこは本当に強く意識しましたね。部下はもちろん、経営陣にも納得してもらうためにも、Aさんには結果にコミットしてもらう必要がありました。信頼残高を最初にどれだけ積めるかが重要だったので、とにかくなんでも話してもらいたい、という姿勢で私と彼の間での密なコミュニュケーションを大切にして、勤務は週3でも、連絡は適宜必要に応じて取れる状態にしていました。
—— 副業人材に求める資質なようなものは、ありますでしょうか?
今井氏:やはり、結果にコミットしてくれる人でないと厳しいですね。とりわけマーケターに関しては、主体的に動いて自走できる人材かどうかが重要ですね。新しい環境で現場を整えつつ成果を出すというのは大きなエネルギーが必要になるので、収入という目的だけではなく、新しい経験や価値を得たい人に合っていると思います。
—— 副業することについて、今井さんはどのようにお考えですか?
今井氏:あくまで私の個人的な意見になりますが、これまでも、私自身プライベートで友人や知人からマーケティングに関する相談には乗ることはありました。報酬はいただいていませんが、社外の方とのやり取りを通じてものすごく勉強になったと感じています。社外にある最新のナレッジを吸収することで個人の成長につながるならば、社員の副業に対してもオープンでいたいなと思いますね。
経営陣が今一番懸念しているのは、「世の中のテクノロジーが進む中で、自分たちの持っているナレッジが陳腐化しているのではないか?」ということなんです。スタートアップは新しいナレッジがどんどん入ってきますが、会社が大きくなると社外との接点が減っていくような気がしています。そういう意味で、社内の知を内側からアップデートできる手段として副業解禁はありなんじゃないか、という話をよくします。
また、社外人材を受け入れてうまくチームとして機能していく上で、自らが副業をする経験も大事かな、と思います。副業したことのない人は、副業人材の方にどうしたら活躍してもらえるか、わからないですからね。
—— 副業人材を活用していく上で、今後の課題などがありましたら教えてください。
今井氏:今後の課題としては、副業人材の評価制度は必要かもしれませんね。現時点では、「継続」と「解約」の2択しかないのが現状だと思いますが、長く活躍してもらうためにも、成果と報酬とのリンクなど、モチベーションを上げる設計が必要だなと思います。
そういった制度づくりを進めていくとともに、たとえ制度が不在の状況でも当事者同士で色々とフォローしていけるよう、積極的にコミュニケーションをとって、互いに言いたいことを言いあえる関係を築くことが大事だと思っています。
—— たしかに、外部人材に対する評価設計はなかなかオフィシャルなものを用意できていない企業がほとんどな印象です。シューマツワーカーでは、1年以上同じ企業で副業社員として活躍されている副業ワーカーさんのエージェントとして、コンシェルジュが間に入り時給交渉などをすることもあるのですが、会社として明確な制度があれば、日常的にそこを意識しながら仕事に取り組んでもらうことが可能ですね。副業社員用の評価制度が導入された際は、ぜひまたインタビューさせてください!
(text by Rina Uehara)