目的は組織の可能性の最大化。じげんの外部人材の活用戦略とは

住まいや旅行、仕事といった多岐にわたるライフメディアプラットフォーム事業を展開する、株式会社じげん。2018年に東証一部への市場変更・20件近いM&Aの実施に伴う体制変更を経て、社外人材の活用が進み、今では外部のプロ人材の比率がかなり高い部署もあるという。今回は、同社で採用・インナーコミュニケーション業務を担っている関帆奈さんに、外部人材活用の成功事例や独自の採用戦略についてシューマツワーカー代表の松村がお話を伺いました。

国際会計基準への移行から、ナレッジの社内浸透化まで?!

—— 早速ですが、じげんが外部人材を活用しようと思ったきっかけはどんなものだったのでしょうか?

関氏:二つありまして、一つは採用マーケットの変化です。近年では、資格やスキルをお持ちの方やご経験が豊富な方ほど、フリーランスという働き方を選ぶ人が増えていますよね。それに伴い、高いスキルを持つ人材を正社員採用することが難しくなっていると感じたところがありました。もう一つは、じげんの企業フェーズが変化するなかで、より高度な専門性や豊富な経験を持つ人材が必要とされていたのですが、そういった人材の正社員採用に苦戦していた、という背景です。

—— 会社のフェーズが変わるとは、どのようなことがあったのでしょうか?

関氏:マザーズから東証一部に株式変更をしたことと、頻繁なM&Aですね。弊社はM&Aが盛んな会社で、上場後から毎年のようにM&Aをしているのですが、M&Aを実施すれば、組織的には新しい事業領域やビジネスモデルへの知見を備えた事業責任者やリーダーのポジションが必要になります。これほどのペースでM&Aを実施しているとそのすべてを社内育成でまかなうということも難しく、そこに、専門性が高く、新しい知見をもっている外部人材の方を適宜登用することで、早期にPMI(M&A後の統合プロセス)を成功させ、事業をグロースさせることができると考えたんです。事業戦略を立てる際のアドバイザーとして入っていただくことで、社内の若手社員にも新しい知見のインプットが早まりますし、事業戦略の実現に、更にドライブがかかると考えました。

業務委託の外部人材が、経理チームの転換期を支える

——外部人材を活用したことで、実際にはどのような手応えがありましたか?

関氏:とてもいい成功事例としては、経理チームの例があります。弊社では2017年に会計基準を国際会計基準IFRS(イファース)に切り替えたのですが、導入プロジェクト終了後、そのプロジェクトを主導していた社員たちの退社時期が重なってしまいました。IFERSを導入したものの、経理チームに詳しい社員がいないなか、「運用をどうやっていこうか」と頭を抱えるような状況に陥っていたんです。

関氏:もちろん正社員でもずっと採用をかけてはいましたが、高度な会計知識を持つ人材となると、条件面で折り合いがつかない場合も多く、選考する側の見る目も厳しくなり、採用のハードルが高くなる一方でした。そこで、外部人材を並行して募集したところ、公認会計士の方にアドバイザリーとして入っていただくことができたんです。その方にはIFRS対応や連結決算などの業務をリードしていただいたのですが、経理チームの体制が一気に底上げされ、組織としてスムーズに機能するようになりました。

それ以来、業務のサポートに加え、社内で勉強会を開催して頂くなど、社員のナレッジを蓄積することにも継続的にコミットしていただいています。

現場社員も巻き込んで視座を上げてくれるプロ人材

関氏:ほかにも、事業部門でも活躍して下さっている方がいます。もともとメディア系の会社でWebマーケティングを担当し、そこから現在は事業戦略の上流まで手がけて来られた方で、じげんでは住まい領域の事業戦略・営業戦略立案をお願いしています。

業務委託の方は「成果にコミットしなければならない」という責任感がとても強いですよね。じげんの事業部門は新卒数年目や第二新卒層などの若手が多い組織なので、彼の存在がとてもいい刺激になっているようです。数字へのコミットに比べて、ノウハウの継承や教育、周囲への影響を定量化して評価することは簡単なことではありません。社内に入り込んでいただけるからこそ、事業にも組織にも非常に良い影響を与えていただいていると思います。

——良い上司がいると、現場の士気が上がるのも想像できます。「まずは出会うため」の、採用可能性を広げる目的で副業人材・外部人材を受け入れるという企業さんもありますよね。

関氏:そうですね。とりわけ正社員採用が難しいマーケターやエンジニア、デザイナーといった「サービスを生む・つくる」職種に関しては、外部人材の受け入れも今後活発化させていきたいなと個人的には思っています。

重要なのは要件定義!「手が足りないから、とりあえず」は失敗の素

——今では外部人材がかなり多い組織もあるとのことですが、当初は、外部人材を受け入れる上で、課題やハードルなどはあったのでしょうか?

関氏:現場では、当初は難しさも一定あったと思います。徐々に案件の渡し方やコミュニケーションの取り方など、少しずつうまく機能するようになって、近頃は長期にわたって定着している方が増えてきています。そうした背景には、時間の経過に伴い、会社全体として、外部人材を自然に受け入れられるようになった気持ちの変化もあると思います。

——新しい働き方が組織に馴染むまでには、一定の時間が必要」というのは、まさに経験から語られる言葉ですね。時間をかけて馴染んでいったというお話は、外部人材の活用初期の企業にとって、大きな励みになると思います!外部人材に活躍してもらうために、企業はどんなことをすべきだと思いますか?

関氏:現場でいちばん重要なことは、仕事の渡し方だと思います。正直、特効薬があったというよりも、現場が「馴染んできた」というのが大きいですね。でも、一つ言えるのは、「人材不足だからとりあえず業務委託で補填する」という考えではなく、「こういった課題に対し、こんなスキルが必要だから、こういう人に来てほしい」といった要件を明確にして募集・受け入れをすることだと思います。その方のやることが明確になって初めて、限られた稼働数の中でもしっかりと結果にコミットしていただけると考えています。「副業人材の方は、自立心があって自走して動いてくれる傾向があるので、やりやすい」という声もありますが、色々と「よしなに」に頼りすぎないことが大事ですね。

適切な人材を採用するのに、正社員採用がベストとは限らない

—— 外部人材の採用は、各部署が主導されているのですか?

関氏:社員の採用と同様で、じげんでは人事でおこなっています。母集団形成と書類の窓口は人事で、面談・採用決裁は該当事業部および管掌役員と連携しながら進めています。1年前までは、業務委託系の採用に関しては事業部の現場主導、社員採用は人事主導という分け方がありましたが、「組織全体の人員体制を考慮するうえで、すべて人事で行ったほうが良いのではないか?」という議論がなされ、現状の形になっています。現場のニーズを人事がタイムリーに拾えるように、事業組織全体を把握する取締役や執行役員・現場をよく知る事業責任者と密にコミュニケーションをとりながら、随時人材のニーズに対し採用なのか業務委託なのか、適切な方法を相談し採用を進めています。

—— 社員が200人を超えているような企業で、現場と人事が温度差なく動ける仕組みというのは素晴らしいですね。

関氏:もともと、人事のみでなく事業部の人間も採用には積極的な組織カルチャーだったというのもありますね。今後は業務委託に任せる仕事と社員で担う仕事を明確にすることで外部人材の活用はしやすくなると思うんです。まだ、なかなか追いついていない部分はありますが・・・。人材ポートフォリオの中で、外部人材活用は欠かせないものを担っていますので、活用を加速させることで事業成長もより加速できるかと思います。優秀な人ほど多様な働き方を選択する中、そのポジションにあった能力を保有する人を必要なタイミングで登用できるのが外部人材の良いところだと思います。

—— 副業社員ジャーナルが取材してきた企業のなかでも、「現場のニーズから人事が正社員採用と副業社員採用の可能性を織り交ぜて採用戦略を立て、一貫したフローで推進していく」というのは、はじめてご紹介いただいた例でした。次回は、じげんの事業部サイドからのお話を聞かせていただきます!

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