0→1の開発がメインの宇宙ベンチャーで、副業AIエンジニアが活躍する秘訣とその成果とは?|株式会社スペースシフト様

2021年にシリーズAラウンド5億円の資金調達を実施し、その後1年半で事業と組織の拡大が加速している注目の宇宙ベンチャー、株式会社スペースシフト様

一度は「副業人材の活用は、自社には合っていないかも」というケースに出逢いながらも、今では「いなくてはならない存在」にまでなった副業AIエンジニアの活躍について、事業開発部 部長 川上 勇治様にお伺いしました!

曇っていても地上を解析できる「SAR衛星」。スペースシフトの宇宙事業とは?

ーー2009年に創業されて現在ということですが、現在の事業について教えていただけるでしょうか。

事業内容としては、人工衛星のデータを解析するAIを作っている会社です。分類としてはいわゆる「宇宙ビジネス」「宇宙ベンチャー」ということになりますが、ロケットを打ち上げたりとか、人工衛星を打ち上げたりするというわけではないんです。人工衛星やロケットの打ち上げというのはどんどん進んでいるんですね。いわゆる「コンステレーション(constellation、星座の意味)」と言われる、同じ衛星をたくさん飛ばして地球をぐるっと取り囲み、いつでも地球の様子を見られる世界が、2025年には到来するといわれるほどです。

つまり、宇宙からのデータはどんどん届く状況になっていく。でもデータだけ来ても使えないですから、それを世の中の役に立つような、必要とする人が使いやすいような形に分析して提供するソフトウェアをつくっているのが、私たちスペースシフトです。

例えばそれは、インターネットがこれから広まっていくという時代にインターネットの線を引くのではなく、ネット上で使われる技術を先に開発したり、スマホが広まりつつある時代にスマホを作るのではなく、その上で動くソフトウェアを先に開発したり、そういうことと近いです。そして専業でSAR衛星の解析AIを開発している会社は、実はまだ、世界的にもほとんどありません

ーーSAR衛星というのは、他の衛星とは違ったデータを得るものなのですか?

はい、SAR衛星というのは、一般的な衛星(光学衛星)とは違うデータを送ります。光学衛星は、カメラを搭載しているもので、地球を見た映像をそのまま映すことのできるものです。ですが、日本なんかは雲がかかっていることも多いですよね。雲がかかっていると、当然、宇宙からの映像としては雲しか見えません。そして夜だったら、真っ暗か、街の明かりくらいしか見えません。結果として、日本だと光学衛星の映像は大体25%しか使えないんです。

それに対してSAR衛星は、マイクロ波を地球に照射して、返ってくる電波で地上の様子を捉えます。マイクロ波というのは、波長にもよるのですが、基本的には雲を透過しますし、植生なども透過するんです。なので、天候に関わらず、昼夜も問わず、いつでも地球上の様子が見られます。

SAR衛星について [スペースシフト社の技術解説ページ→https://www.spcsft.com/technology/]

SAR衛星は、昔は主に軍事用の大型衛星しかなかったのですが、今は民間の小型のSAR衛星がどんどん打ち上げられています。日本でも現在2社ほど、小型のSAR衛星をつくっているベンチャー企業があります。こうした企業が飛ばしている衛星のデータを利用するソフトウェアを作るというのが、私たちです。

手順が決まった仕事は社内にほとんど存在しない

ーーシューマツワーカーからは、これまで3名の副業メンバーがスペースシフト様にて稼働させていただいてきました。現在も継続しているのは2名ですね。業務委託やフリーランスはもともと入っていましたか?

はい、初期は業務委託の方にも入っていただいていました。社内に数名しか社員がいなかった頃です。現在は、直契約以外で、フリーランス・業務委託などの形態で稼働しているのは、シューマツワーカー経由の副業メンバーのみです。

ーー最初のメンバーが入ることになった当初、どういう人材を求めて募集を出したのでしょうか?

仕事をきちんとやってくれるAIエンジニアの方を求めていたのですが、入ってもらってから気づいたのは、スペースシフトの今のフェーズには、「いつまでに納めれば良い」「期限はいつで、やり方はこうで」と手順の決まった業務のパッケージなんてほとんどなかったんです。ぐちゃっとしたデータや要件がある中で、なんとなくやりたい方向性は決まっていて、なんらか形にしていきたい・・・という仕事ばかりなんです。

ーーなるほど。明確に先の見えている開発業務ではないんですね。

私たちの進め方というのは、未加工の様々な衛星データや地上データなどがありますーー例えるならば、野菜や肉など食材がいろいろあります、という状態がスタート。そこから明快なレシピがあってこういう手順でこういうものを作らなくてはいけない、ということではなく、「今あるものでなんとかカレーをつくりたい」というようなオーダーなんです。

人によっては、「何やれば良いかわからない」「レシピってありますか?」「じゃがいもの切り方ってどういうのがいいですか?」という状態になってしまう場合もありますし、逆にスペースシフトのような状況が楽しくて、いきいきとやれる方もいると思うんです。副業メンバーも同様に、そのやり方がハマる方とそうでない方もいる、ということは私たちにとっても学びでした。

そして、最初の方はそのやり方が合わないタイプの方でした。進めていく中で、いろいろと齟齬が出てきて、途中で解約ということになりました。

ーー同じAIエンジニアで、同じようにスキルがあっても、進め方が合うかどうかも重要なポイントだったのですね。その後はどうなりましたか?

その後、スペースシフトで一緒にやっていただくには、そういう、要件や手順が固まりきらない中でも進めていく力が必要だということを伝えた上で、シューマツワーカーから再度人材を紹介いただくことになり、紹介されたのが今も続いている2名です。

二人とも非常に優秀で、今、スペースシフトにいなくてはならないメンバーになっています。積極的に提案もしてくれて、やることをどんどん進め、積極的に社員ともコミュニケーションをとってくれます。副業ではあるんですが、その枠を超えてチームに入り込んで仕事してくれています。

事業に興味があるメンバーと働くこと・期待値を率直に伝えること

ーー副業メンバーとのお付き合いで、1人目の方とは解約になってしまいましたが、現在は非常にうまくいかれていますよね。うまくいっている今回のケースで、具体的に変わった点はあったのでしょうか?

2点あると思います。まずは、副業メンバーがスペースシフトの事業に興味を持ってくれていることが大きいです。前の方は「AIのスキルを生かしたい」という思いで来てくれていて、その動機も悪くはないと思っていたんです。でも、「宇宙事業に興味がある」「スペースシフトの事業をもっと知りたい」という副業メンバーが来てくれたことで、お互いに仕事自体のおもしろさを感じながら進められるのが非常に良いとわかりました。

もう一つは、会社側からの情報開示にぐっと力を入れるようになりました。「パートナー社員には必要な情報だけ渡してやってもらう」というのではなくて、今は「会社の一員として会社のいろんなことを知ってもらう」形になりました。社員とほぼ同じくらいの情報に触れながら、仕事を進めてもらっています。副業メンバーの業務に直接的には関連しないようなことや、開発の全体の進捗や方向性なども共有しています。結果的に、自分で判断できる状況になっているのも大事なのだと思います。

そして副業メンバーに対して、期待値も率直に伝えるようにしました。

ーー「期待値を伝える」というのは、具体的にはどのようなことですか?

まず、スペースシフトとしては、「副業社員なのでこのくらいでいいです」みたいな線引きはしないです、というスタンスを明確にお伝えするようにしました。情報は全部開示するので、やる気次第でどこまででもできる環境にします、と。私たちが壁を設けることはしないです、と。

逆に、「言われた範囲だけやりたい」「明確に線引きされている方が良い」という志向の方は向いていません、というのも同時にお伝えします。うちの進め方に興味を持っていただけない場合は、お互いにミスマッチになってしまいますから。そういう方に向いた仕事もあるはずなので、それは悪いことではないと思っています。

自社にマッチする副業人材のタイプを見極めること

ーー2人の副業メンバーが入って、業務の中で「うまくいき始めた」と感じたのはいつごろでしたか?

わりとすぐでしたね! スペースシフトは若いメンバーが多いんですが、副業メンバーは、若いのは若いんですが、経験値が高い方たちでした。そのせいもあってか、早い段階から、こうしたら良いんじゃないかといった提案をもらうようになって、1−2ヶ月くらい経った頃には仕事に慣れていただけた感じがありました。定期的にレポートも出してもらっているのですが、4-5ヶ月目には内容もかなり充実したものになりました。

ーー副業人材に対するイメージも変わりましたか?

副業人材の方にもいろいろな方がいることがわかりました。なので、重要なのは自社がどのような意識で副業メンバーに事業に関わって欲しいのか、明確にすることかなと思うようになりました。

隙間時間に労働対価として時給を稼ぎたい、という方もいれば、スキルアップや経験値を上げるために副業をしたいという方もいる。弊社の場合は明らかに後者の方でないとマッチしないな、と思っています。前者の方はスキル要件がマッチしたとしても、単純作業や、ここからここまでとはっきり割り切れる業務を求めていると思うんです。でも弊社のようなまだ小規模なベンチャー企業では、最先端の新しいことしかやっておらず、そういった仕事ってほとんどないんです。なので、弊社には後者の方が合うというわけです。

その分類と自社の特性をわかっていれば、自社から出す人材要件についても、基準が明確になります。そしてよりマッチした方を紹介してもらえます

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スペースシフト様のお話をヒントに、

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