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緊急事態宣言が解除された後も各社でテレワークについての是非が議論されています。これを…
2020.06.08
2020.07.13
日本の労働力人口減少が社会問題になっています。
あらゆる機構や研究所の労働力人口調査がそれを示唆するグラフを出しており、2015年には6440万人いた就業者は、2030年には5560万人まで減少すると予測されています。原因は少子高齢化です。1974年には200万人を超えていた出生数ですが、2019年は90万人を割ると予測されています。
※月刊「事業構想」2019年1月号 数字で見る「労働市場の未来」 激減する就業者、変わる雇用
https://www.projectdesign.jp/201901/future-working/005827.php
人手不足の課題は、今後より深刻になると見込まれます。このままでは多くの企業が“人手不足倒産”に事態にみまわれるでしょう。しかし悲観してばかりではいけません。見えている未来ならば対策は可能です。
今回は、日本企業が人出不足対策に行わなければいけない代表的な3つの施策を紹介します。
平成30年度情報通信白書の3節 「日米の ICT 投資の現状」には、日本のソフトウェアを利用する企業(ユーザ企業)は、パッケージソフトウェアの活用に比べ、受託開発に相対的に多くの費用を投じていることが報告されております。割合でいうと、アメリカが46.2%に対し、日本は11.7%にすぎません。
“日本で受託開発が多いのは、ユーザ企業が外部に委託して独自仕様を盛り込んだソフトウェアを作成していることが一因と考えられる。この受託開発はベンダ、ユーザ企業のシステム担当者と現場との間で情報システムの要件定義が難航して開発に時間がかかりがちなこと、アップデートやカスタマイズ毎に追加の費用が発生すること、システムの追加や改修によって費用が発生する場合があることから相対的に多くの費用を要する可能性がある。さらに、カスタマイズが利便性向上や付加価値増加のためではなく、従来のシステムへの過剰適合であったり、ICT導入以前の組織や業務プロセスに合わせるために行われる場合*8があることも挙げられる。”
※平成30年度情報通信白書の3節 「日米の ICT 投資の現状」より引用
結果、日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)の年次レポート「企業IT動向調査」にあるとおり、日本におけるユーザー企業のIT予算の8割が既存システムの維持管理に使われているという、けっしてIT先進国とは言えない非効率な現状を生み出しています。
一方で近年は自社でICT投資を行わずとも、外部のICTサービスを利用できるクラウドサービス(SaaS)が注目されています。総務省が公表した「平成28年通信利用動向調査」では、クラウドサービスを利用している企業は利用していない企業に比べて労働生産性が約30%高いというデータが示されています。
クラウドサービスを活用する場合、上記のような業務にシステムを合わせるという形ではなく、システムに業務を合わせるという考え方が大切です。多くの業務効率化のクラウドサービスは様々な業務において、一番生産性が高い業務プロセスに最適化をするよう作られています。
たとえば、弁護士ドットコム株式会社が提供している「クラウドサイン」では、契約という業務を従来の紙でのやり取りはなく、WEBで完結します。もちろん法的にも問題ありません。
これによって契約における業務フローである[2部印刷する]⇒[製本する]⇒[捺印する]⇒[2部郵送する]⇒[1部捺印されたものが返送される]の工程をすべて削減でき、紙のコストはもちろん契約書にたずさわる人件費など膨大なコスト削減につながります。
あくまでも一例ですが、今後クラウドサービスの活用によって、最小限の投資で最大限の生産性向上を目指すことが主流になっていくでしょう。
出典:
①総務省「平成28年通信利用動向調査」
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/statistics/data/170608_1.pdf
②総務省「平成30年度情報通信白書」
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h30/pdf/n1300000.pdf
③日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)「企業IT動向調査2019 (2018年度調査)」
https://juas.or.jp/cms/media/2017/02/it19_ppt.pdf
経済産業省は2019年4月、AIやIoTなど先端的なIT(情報技術)をになう人材が2030年に55万人不足する恐れがあるとの試算をまとめました。
先端的なIT人材だけではありません。実は、先述した非ITの中小企業のICT化が進まない理由のひとつが、ITリテラシーの格差です。自社にあった便利なクラウドツールを選定、導入、運用できる人材が社内にいないことが多いのです。
政府はこれに対し、大きく2つの施策を打ち出しました。
1つは“IT人材の教育”です。2020年より小中学校でプログラミング教育が必修化されます。義務教育の歴史において過去最大の変革のひとつと言えます。しかしこれは中長期的な施策。実際に教育を受けた人材が労働力と計算できるのは、もっと先の未来です。
もう1つは、政府が掲げる“働き方改革”のひとつである副業・兼業推進による労働力の流動性向上です。フリーランスや副業という働き方のガイドライン制定による啓蒙活動を行い、「1人が1つの会社で働く」という固定観念のディスラプトをはかったのです。※働き方改革にはほかにも意図はあります
これにより都市部に一極集中しているIT人材に“2つ目の会社を選ぶ” という発想と機会を与え、非ITの中小企業でも優秀なIT人材リソースを確保しやすくなります。
実際に正社員採用市場と比較して、副業人材市場では現在需給バランスが逆転しており、副業案件よりも副業したい人のほうが多くいます。
つまり、地方企業がYahoo!やサイバーエージェントなどの大手企業に勤める優秀な社員を副業で採用できる可能性があるということです。
さらに政府は2020年度から、東京圏に住みながら地方で兼業や副業をする人に交通費を支援する制度をはじめます。2020年度予算案に計上した1000億円の地方創生推進交付金を活用し、1人当たり年間50万円を上限に3年間で最大で150万円を支給するものです。
交通費が往復で1万円を超える場合、国と地方自治体がその半分を兼業や副業先の企業に助成します。このように政府も本格的に兼業、副業支援に乗り出すなど2020年は働き手サイドではなく、企業サイドが多様な働き方を受け入れることが『働き方改革』のキーテーマになると言えるでしょう。
日本人の労働力人口を外国人で補うという、シンプルな施策です。
2018年に株式会社メルカリが44名の新卒外国籍エンジニアを採用し、数多くのメディアに取り上げられたのは記憶に新しいことでしょう。
実は政府は日本における外国人雇用の枠組み拡大を積極的に進めています。2019年4月より改正入管法が施行され、外国人の新しい在留資格「特定技能」が創設されました。単純労働分野と言われる職種にも対象を広げることになります。
ただし、日本企業も大きな変革に迫られています。今までは「日本語が話せないと雇えない」というのが一般的な企業の価値観でした。今後は“日本企業が英語と中国語に対応しているかどうか”が有能な外国人リソース確保の競争のキーになるでしょう。
3つの施策に共通しているのは“企業に変化が求められている”ということ。大切なことは「1. SaaSサービス導入による生産性を高める」でも述べましたが、経営者や人事だけでなく全ての社員が “人手不足” に対しての危機感を持ち、変化していくことです。