事業を理解してくれたシューマツワーカーからの提案で、マーケティング戦略を転換|株式会社Stellify様

2022年2月に名古屋で起業した、人材系スタートアップの株式会社Stellify様。”stellify”とは、「星に変える」「スターにする」という意味。株式会社Stellify様はスタートアップ企業の採用の課題を解決し、スタートアップの「志」を実現する支援をする企業です。

現在、正社員は0名、創業者の鈴木様と、シューマツワーカー経由で参画した副業メンバーたちが、新プロダクト『MY BOSS』の開発をしています。

今回は、そんなStellify様の副業人材を活用した組織作りやプロダクト開発体制、シューマツワーカーがパートナーだったからこそ実現したマーケティング戦略の転換など、株式会社Stellify 代表取締役社長 鈴木 和広様に伺いました。

この記事はインタビュー後編です。前編はこちら

「スカウト代行」だけでは、本質的な採用課題を解決できないと気づいて

ー 前半では、現在Stellify様で開発されている自社初のプロダクト「MY BOSS」について教えていただきました。開発初期から副業メンバーで編成した開発チームによって、正社員0人でリリースに向かっていらっしゃいます。そもそも鈴木様は、このプロダクトの構想があって起業されたんでしょうか?

鈴木 いえ、実はそうではありませんでした。そもそも起業するという明確な意思があったわけでもないんです。

私の経歴を少しお話ししますと、大学を卒業してからずっと名古屋にいるんです。新卒でWeb系の会社に就職し、2年半くらいいろいろな職種を経験しました。そこで人事を経験したことが契機になり、人に深く関わる人事という仕事の楽しさを知りました。「いろいろな会社の人事になれるような職業はないだろうか?」と思って転職した先が人材業界大手のエン・ジャパンでした。

転職先のエン・ジャパンでは、企業向けの採用コンサルティングをやりました。最初の半年間は三河地方という、トヨタなどの製造業の多い地域を担当。入社半年後から大手企業専門チームの立ち上げに関わり、リーダー、マネジメントを経験し、4年半の在籍後、フリーランスとして独立しました。

ー それでは、その当時は「起業しよう」というお気持ちでもなかったんですね。

鈴木 転機となったのは、業務委託として人事業務を請け負う仕事と出会ったことでした。もともとの自分の興味・得意領域をようやく思い出して。特にスタートアップの「ダイレクトリクルーティング代行」をしているうちに、軌道に乗って、結果的に法人化したんです。

ー そこで、このプロダクトの構想が生まれたんでしょうか?

鈴木 そうすんなりともいかなくて。むしろ最初は、スタートアップ向けの「ダイレクトリクルーティング代行業」を事業として拡大しようかと思っていました。それに向けて動き出してもいたんです。

ところが、会社を立ち上げてさらに腰を据えて顧客企業と向き合っていくうちに、課題に対する解像度がもう一段深まっていったんです。

今の枠組みで企業が採用活動をしようとすれば、人材紹介エージェントを活用するか、ダイレクトリクルーティングでスカウトを活用するか、その二択が主要な採用活動の選択肢です。スタートアップにとってももちろんそうで、だからこそ私も、ダイレクトリクルーティング代行をすることで、スタートアップの採用活動を支援していたわけです。

しかし、これら既存の手法をいくらうまく活用しても、いくら社内で改善し工夫しても、スタートアップにとって理想の採用活動には到達できないのではないか、そんな疑問がわいてきました。既存の手法では、スタートアップの本当の良さを生かした採用活動はできていないんじゃないだろうか?と。そうしてようやく、現在のプロダクトの構想の根っこが生まれていきます。

エージェントもスカウトも、スタートアップ企業には活用しづらい現実

ー 既存の手法ではスタートアップにとって良い採用活動をしにくいというのは、どういうことでしょうか?

鈴木 それは構造的な問題ですが、まず、エージェントはビジネスモデル上、スタートアップに注力しづらいんです。というのもエージェントは「人材紹介」が成約した件数と、紹介した人材の年収の一定割合をエージェントフィーとして得ているビジネスです。年収も高く、1職種に対しての募集人数も多い、大手企業に注力する方が、エージェントにとっては合理的なんです。

一方で、スタートアップへの人材紹介が大手企業よりもハードルが低いかというと、そういうわけでもありません。スタートアップの求める人材は「少数精鋭」でスキルフルで優秀な方でありながら、ビジョンやミッションにも共感した人材を求めるケースが多く、「即戦力」でなければ採用できませんから。こうなるとスタートアップ企業がエージェントを活用して採用を実現していくことは難しいといわざるを得ません。

もちろん、今でこそスタートアップ専門のエージェントも増えてきていますが、数社のエージェントで毎年数千社と生まれていくスタートアップを抱え切れるはずもなく、新規お断りになってしまっているエージェントも多いです。

ー Stellify様がやっておられる「ダイレクトリクルーティング」はどうでしょうか?

鈴木 一見ダイレクトリクルーティングはスタートアップの採用活動に良さそうですし、実際に活用している企業も多いのですが、成果を上げようとすると、ネックになるのが工数と費用なんです。

特に工数については、スタートアップにとって「時間」ほど貴重なものはないですから、結局自社で運用しきれなくて、スカウト代行に依頼するというケースも多くなります。スカウト返信率などの成果も、私たちのような専門の会社に頼むのと自社運用するのとで、2倍から3倍くらいの差が出ることもしばしばです。

スタートアップに負担となる「カジュアル面談」通過率の低さ

ー スタートアップにとって、既存の枠組みでの採用活動で成果を出し続けることは、確かに時間もコストも負担になりそうですね。でも、自社で母集団形成を進めている企業も多いですよね。

鈴木 はい。ただ、母集団形成がうまくいくようになっても、今度は「カジュアル面談」という壁があるんですよね。

ー 最初からいきなり採用選考プロセスに入るのではなく、カジュアル面談をはさむというやり方は、ここ数年でかなり浸透しましたよね。ここにも壁がありますか。

鈴木 スカウトを受け取ってカジュアル面談に来ている採用候補者は、企業に対して「まだ、さほど興味を持っていない」状態であることが多いんです。企業はその時点では、「選ばれる側」。企業としては、この第一段階で選ばれ、選考に進んでもらいたいですよね。ですから、カジュアル面談ではいかに「カジュアル」といっても、候補者に対して企業の魅力づけをしっかりとしていきたいわけです。

そうなると、やはり事業の魅力、企業の魅力を最も語れるメンバーというのは、その会社の中核メンバーです。スタートアップや創業初期の企業なら、それはやはり社長や経営メンバーでしょう。カジュアル面談は、これらの中核メンバーの時間をとっていくものとなっていきます。

その上、カジュアル面談に来ている何%が「自社に興味を持ってくれるか」、そして逆に「自社にとって必要な人材か」。この両面がマッチする人材にどれほどの確率で会えるでしょうか。10人のうち1人か2人かもしれません。ここはもうマッチングの問題ですので、その方自身がどうこうということよりも、あくまで企業と個人の相性です。とはいえ、カジュアル面談の時点でマッチするのが10%なら、採用プロセスに進んでもらいたい候補者数の10倍の方とカジュアル面談しなくてはならないんです。

そして実際に入社してみたとき、スキルがあっても環境が合わずに活躍できない、ということは往々にしてあります。企業としてもそれを防ごうとして何回も面接をしようとしますが、そうすると今度は、面接の回数が多すぎて候補者から辞退されてしまう。

ー ハードルが高いですね・・・。

スタートアップの最大の魅力は”人”。それを先に知ってもらうべき

鈴木 そこで、私たちの「MY BOSS」の発想に至るんです。

スタートアップ向けの採用活動をしていく中で、起業家・スタートアップの社長とお話しさせていただく機会が非常に多くなったんです。そうしてわかったことが、「スタートアップの社長は、とにかく熱い想いを持っていておもしろい方が多い!」ということでした。

スタートアップって、実際に社長とお話しさせていただくと、本当に9割は「うわ!この会社に入りたい!」と思うような魅力的な”人”が多いんです。この魅力を知ってもらうことができれば、スタートアップの採用にとって、これ以上の強みはありません。そしてスタートアップでは、この方たちが求職者の「ボス」になり、一緒に働くケースがとても多い。

であれば、最初からこの「ボス」をもっと知っておくのはどうか、「ボス」の魅力を知ってくれた人だけが応募してくれるという仕組みはどうか、と考えたのが、「MY BOSS」なんです。

ー それで、前半でご紹介いただいたようなプロダクトになるんですね。

他のサービスでやっているところをたくさん探してみたんですが、まだなさそうで。なら自分で作ってみようかと思ったのが、プロダクト開発の起点でした。

あえて「自社で運用しない」求人サイトに。スタートアップに特化したサービス設計

鈴木 さらに、プロダクトの設計で工夫しているのは、できるだけ企業側の運用工数を減らすことです。先ほどもいったように、スタートアップにとって「時間」はいちばん大切です。

たとえば、ボスのインタビュー記事は、弊社の取材班が作成します。企業側からはコラムの投稿はあえてできないようにしています。求人情報は追加も編集もできますが、インタビュー記事は編集も追加もできないような仕様にしています。「運用しなくていい求人サイトであること」を作り上げるためです。もちろん求人票やスカウトは成果につながるものをつくる必要がありますが、スタートアップのダイレクトリクルーティング活用支援のプロである私たちがしっかりとフォローします。最初に勝ちパターンさえ作ることができれば、企業側の負担は大きくはないんです。

ー 自社で自由に追加できる方が良さそうですが、そうではないんですね。

鈴木 忙しい企業担当者が数々の求人サイトを運営し続けることは、本当に大変です。私が長い間この業界で支援していて思うのは、「結局どの企業も使いこなせてはいない」ということ。その結果、採用代行などを使った採用活動になるんですよね。たくさんの武器を生み出していくことよりも、磨きに磨いた一振りの日本刀のような練りに練ったインタビュー記事を掲載し、それに魅力を感じてくれた候補者だけが集まってくれるようにする。そこが「MY BOSS」の新しさです。

ー 「MY BOSS」はローンチ前ですが、すでにご利用する予定の顧客企業もおられるのでしょうか?

鈴木 数社に絞ってはいますが、すでにインタビュー済みでライティングも終わっている企業が複数社いますし、実はすでに契約に至っている企業様も、何社かおられます。ニーズはあると感じています。

利用企業に対しての支払体系としては、成功報酬なしで、月額利用料のみかかる形です。

求人サイトで成功報酬がかからないというのは、珍しいかもしれませんが、ターゲットであるスタートアップ企業にとって、成功報酬で一度に多額の出費が負担になるケースは少なくありません。それに、「まずは副業として一緒に働いてみて決めよう」といった選択肢も増え続けている時代には、合わないようにも思っています。

コンテンツ制作体制も副業人材を活用し、チームを編成中

ー 料金体系も含めて、ターゲットは完全にスタートアップ企業なんですね。

鈴木 はい。ただし、「スタートアップ」の定義にはこだわっていません。創業歴や資金調達実績など、そういう定義もあるでしょうが、私としては業界や創業歴を問わず、「何かしら社会課題の解決に挑戦している」「イノベーションを起こそうとしている」企業をスタートアップととらえています

だから、例えば創業してから10年以上経っているとか、既存のビジネスモデルであっても、新しい課題に挑戦している企業や、社会を独自の観点で変えようと試みているような企業。そういった企業も、私としてはスタートアップと捉えて積極的にサポートしていきたいと考えています。

ー ところで、先ほどボスへのインタビューの「取材班」とおっしゃいました。でも、Stellify様には鈴木様しかおられないのですよね。

鈴木 そうです。ここも副業メンバーでチームを作っています。シューマツワーカーで最初に頼んだ副業メンバーは、実は「MY BOSS」の記事のストーリーライターだったんです。シューマツワーカーからの副業メンバーによって、プロダクト開発だけでなく、コンテンツ制作体制も構築しているんです。

最初に入ってもらった副業ライターには、最初に私に対してインタビューしてもらって、それを記事化していただきました。noteの企業アカウントで、その記事を公開しています。

そこで記事化がうまくいったこと、期待通りのクオリティになったことを受けて、ユーザーとなるスタートアップ企業の募集を始めました。そして同時に、ライティングの体制作りも進め、インタビュアーとライターを兼ねる人材の募集をさらに増やしました。

シューマツワーカー担当者との議論の中で、マーケティングの方針転換へ

ー それでは、記事制作チームの副業人材活用は、初めからうまくいったのでしょうか。

鈴木 いえ、実は一度、失敗もしています。ライティングを主要業務として応募してくれた方に、SNS運用をお任せしようとして、これはうまくいかず、契約を終了することになりました。やはりここでも、「副業人材には得意領域でコミットしてもらう」ことが重要だと感じます。

ー では、そのときの目的だったSNS運用については、どのように解決されたのでしょうか?

鈴木 SNS運用のスキルのある新しい方を探そうと、私は思っていたのですが、実はここで、全く新しい提案をもらうことになりました

この人材もシューマツワーカーのカスタマーサクセス担当者に相談しながら人材要件を固めていっていたんです。ですがその議論の中で、「今『My BOSS』のローンチに向けて本当に必要なのは、SNS担当者でしょうか?」という疑問をぶつけられて

いきなりSNS運用を始めるのではなく、まずはマーケティング戦略を立てるところからの方がいいんじゃないですか?」と。

考えてみればもっともだと思いました。シューマツワーカーで、マーケティング戦略を立てることのできるような人材がいるか教えてもらい、今のフェーズにもぴったり合う良い方を紹介していただきました。

そしてその副業マーケターと一緒にマーケティング戦略を練り直すうちに、SNS運用は止めることにしました。現状は別の方法で、初期ユーザーを集めていく方が良いという結論になって。

副業マーケターの方には僕の壁打ちをしてもらいつつ、プロダクトやコンテンツをマーケティング観点で見た時のレビューをしてもらっています。それが現状非常に良い方向だと感じていて、カスタマーサクセス担当者の提案力には感謝しています

想像以上のクオリティの高さと提案力が、シューマツワーカーの良さ

ー 最後にあらためて、シューマツワーカーで良かったことはどんなことでしょうか。

鈴木 シューマツワーカーの良かったところはいくつもありますが、3つお話します。

1つ目が、これは意外だったことなんですが、「紹介してもらえる人材のクオリティが高いこと」でした。シューマツワーカーって、名前の通り”週末”だとか、”夜間”の隙間時間に仕事する人たちっていう印象を持っていました。本業の傍でちょっとやっている程度だろうと想像していたんです。

でも違いました! とてもクオリティの高い人材がいて、しかもコミットしてくれる

それから2点目。セールスやカスタマーサクセスの担当者が、きちんと弊社の事業ややりたいことを聞いてくれて、理解した上で動いてくれることです。返答がとても早いし、電話でも頻繁に相談させてくれました。

先ほど「クオリティが高い人材が多かった」と言いましたが、質の高い人たちが登録しているのか、または、ひょっとすると担当者の方たちの力で、弊社にすごくマッチした人材を、紹介していただいていたという結果なのかもしれません。

ー ありがとうございます。

鈴木 3つ目は、事務手続きや処理など、作業面での煩わしさがなくて、楽なこと。

今は副業メンバーが活躍してくれる組織になったからこそ、プロダクトローンチに向けて開発もコンテンツ制作も進んでいますが、同じようなことを、もしもフリーランスの方と個別に契約して実現していたとしたら、今、私の業務時間のうち多くの時間を「フリーランスの稼働の確認」「請求書を集めて、ちゃんと振り込みを行う」といった作業に奪われていたかもしれません。

でもシューマツワーカーではそういうことはなくて、シューマツワーカーのシステムで各メンバーの稼働時刻を管理し、請求を確認していけばいいだけです。契約面も同様に、非常に楽に管理できます。

ー ありがとうございます。今後も、副業人材の活用は進めていかれますか。

鈴木 はい。副業メンバーは、それぞれの方が月に40時間くらいしか稼働してもらっていないんですが「月に40時間」と考えると、本来であればもっとクオリティが低いことも考えられると思うんです。事業のキャッチアップや、業務に対する理解を深めるための時間なども含めて。

でも実際にはシューマツワーカーの副業メンバーには、想像していた120%くらいの力を発揮してもらっています。稼働時間は少ないし、お支払いしている金額以上の働きをしてもらっているという印象です。時間あたりの生産性が高い人たちが多いですよね。

今後も幅広い職種で、活躍していただけることを期待しています。

後編をお読みいただきありがとうございます!前編はこちら

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最後までお読みいただきありがとうございました。

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