採用広報で応募数を増やす方法|SNS活用・コンテンツ戦略の成功ポイント

厚生労働省が発表した2024年平均の有効求人倍率は1.25倍(*1)。候補者1人あたり1.25件の求人がある状態が続いており、企業にとっては依然として「売り手市場」が続き、求人を出すだけでは応募が集まりにくい状態になっています。

*1  日本経済新聞「2024年の有効求人倍率1.25倍、3年ぶりに低下 失業率は2.5%」 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA30CQ90Q5A130C2000000/

こうした採用難の時代において、注目を集めているのが「採用広報」です。企業の魅力を多角的に発信し、候補者との接点を増やす採用広報は、応募数を増やすための有効な手段として多くの企業が取り組み始めています。本記事では、そんな「採用広報」に焦点を当て、リソースが限られる中小企業やスタートアップでも実現できる進め方をご紹介してまいります!

企業のリアルな情報を発信することが、採用につながる!

採用広報とは、企業が自社の魅力や価値観、働く環境などを積極的に発信し、候補者との関係性を築きながら採用活動を進める手法です。

従来の採用手法では、求人媒体に情報を掲載し、応募を待つという「待ちの姿勢」が中心でした。一方、採用広報は企業から積極的に情報を発信し、候補者との接点を作り出す「攻めの姿勢」が特徴です。

近年、採用広報が注目されている背景には、候補者の情報収集方法の変化があります。

インターネット上の情報発信や、SNSや口コミサイトを通じた「リアルな情報」に触れられる環境が当たり前になった今。だからこそ、企業側も採用広報を通じて自社のありのままの姿を発信し、候補者との信頼関係を築いていく必要があるのです。

採用広報で応募数が増えるのはなぜ?3つの理由とは

採用広報に取り組むことで、なぜ応募数が増えるのでしょうか。ここでは3つの理由を解説します。

理由1:企業の魅力を多角的に伝えられるから

求人票には掲載できる情報量に限りがあります。職種、給与、勤務地といった基本情報は伝えられても、企業の理念や社風、チームの雰囲気、実際の働き方といった情報は伝えきれません。

採用広報では、SNSやブログ、動画などさまざまな媒体を活用することで、求人票では伝えきれない企業の魅力を多角的に発信できます。社員インタビュー、オフィスツアー動画、プロジェクトの舞台裏など、多様なコンテンツを通じて企業の実態を知ってもらうことができるのです。

理由2:候補者との接点が飛躍的に増えるから

従来の求人媒体では、転職を具体的に考えている「顕在層」にしかアプローチできませんでした。しかし採用広報、特にSNSを活用することで、今すぐ転職を考えていない「潜在層」にもリーチすることができます。

総務省の調査によると、SNSの利用率は全体で80.8%、20代では93.0%に達しています(*2)。さらに、SNSの利用目的として「知りたいことについて情報を探すため」が63.4%と高い割合を占めています。

*2 総務省「令和5年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01iicp01_02000122.html

日常的にSNSを利用する中で企業の投稿に触れることで、「いつか転職を考えたときに応募したい」と感じてもらえる可能性が高まります。接点を増やすことが、将来的な応募数の増加につながるのです。

理由3:信頼関係を構築し、応募意欲を高められるから

採用広報を通じて継続的に情報発信を行うことで、候補者との間に信頼関係が生まれます。企業の姿勢や価値観に共感した候補者は、応募時のモチベーションが高く、入社後のミスマッチも起こりにくい傾向があります。

特に、社員のリアルな声や働く様子を発信することで、候補者は「この会社で働く自分」を具体的にイメージできるようになります。応募前から企業理解が深まることで、応募のハードルが下がり、応募数の増加につながります。

採用広報の実践①|主要SNSの特徴と使い分けは?

ここからは、採用広報の中でも特に効果的なSNS活用について、具体的な実践方法を解説します。採用広報で活用できるSNSは複数ありますが、それぞれ特徴が異なります。ターゲットとする人材や発信したい内容に合わせて、適切なSNSを選択することが重要です。

  • X(旧Twitter) 
    • 短文での情報発信が中心で、拡散力が高いのが特徴です。日常的な出来事や社内の雰囲気を気軽に発信でき、候補者との距離を縮めやすいプラットフォームです。リアルタイム性が高く、イベントの告知や最新情報の共有に適しています。
  • Instagram 
    • ビジュアル重視のSNSで、写真や動画を通じて企業の雰囲気を直感的に伝えられます。オフィスの様子、社員の働く姿、イベントの風景など、視覚的に魅力を訴求したい場合に効果的です。20代から30代の若年層へのリーチに強みがあります。
  • note 
    • 長文コンテンツを発信できるプラットフォームで、企業の理念や事業への想い、社員のストーリーなど、深い内容を伝えるのに適しています。検索エンジンからの流入も期待でき、採用サイトのような役割も果たせます。
  • Wantedly 
    • ビジネスSNSとして、採用目的での利用を前提としたプラットフォームです。20代から30代のミレニアル世代が多く登録しており、給与などの条件面よりも、ミッションやビジョンへの共感を重視する候補者にアプローチできます。
  • LinkedIn 
    • ビジネスプロフェッショナル向けのSNSで、特に経験者採用やグローバル人材の採用に強みがあります。実名制で信頼性が高く、スカウト機能も充実しています。

採用広報の実践②|発信すべきコンテンツとは?

採用広報でSNSを活用する際、どのようなコンテンツを発信すればよいのでしょうか。効果的なコンテンツの種類を紹介します。

  • 社員インタビュー・ストーリー 
    • 実際に働く社員の声は、候補者にとって最も知りたい情報の一つです。入社の決め手、やりがいを感じる瞬間、キャリアパスなど、リアルな声を発信することで、候補者は働くイメージを具体的に描けるようになります。
  • 日常業務の紹介 
    • 普段の仕事内容や1日の流れを紹介することで、候補者は入社後の働き方をイメージしやすくなります。特に、チームでのミーティング風景やプロジェクトの進め方など、チームワークが伝わるコンテンツは効果的です。
  • 企業文化・価値観の発信 
    • 企業が大切にしている価値観や行動指針を発信することで、共感する候補者からの応募が増えます。イベントの様子や社内制度の活用例なども、企業文化を伝える良い素材になります。
  • 採用イベント・説明会の告知 
    • カジュアル面談や会社説明会などのイベント情報をSNSで告知することで、参加者を効率的に集められます。イベント後の様子をレポートすることで、参加できなかった人へのフォローにもなります。
  • 成長機会・学びの場の紹介 
    • 研修制度、勉強会、外部セミナーへの参加支援など、社員の成長を支援する取り組みを発信することで、成長意欲の高い候補者の関心を引くことができます。

採用広報の実践②|投稿頻度と運用体制、ポイントは?

SNS運用で重要なのは「継続性」。定期的に発信し続けることで、候補者との接点を維持し、企業の存在を認識してもらえます。

理想的な投稿頻度は、XやInstagramであれば週3〜5回程度、noteであれば月2〜4回程度が目安です。ただし、無理な頻度設定は継続の妨げになるため、まずは週1〜2回からスタートし、徐々に増やしていくのがおすすめです。

運用体制としては、人事担当者が単独で行うのではなく、複数のメンバーで分担するのが理想的です。人事部門だけでなく、現場の社員にも協力してもらい、多様な視点からコンテンツを作成することで、より魅力的な発信ができます。

エンゲージメントを高めるポイントは?

SNSでの発信は、単に情報を流すだけでなく、候補者との双方向のコミュニケーションを意識することが大切。

投稿に対するコメントには丁寧に返信し、質問には真摯に答えることで、候補者との信頼関係が深まります。また、ハッシュタグを活用して投稿の検索性を高めたり、社員に投稿をシェアしてもらったりすることで、リーチを拡大できます。

さらに、「いいね」や「シェア」の数を定期的にチェックし、反応が良かったコンテンツの傾向を分析することで、より効果的な発信につなげられます。

採用広報の実践③|「コンテンツ戦略」が情報発信を成功させる

SNSでの発信を成功させるには、場当たり的な投稿ではなく、戦略的なコンテンツ設計が欠かせません。ここでは効果的なコンテンツ戦略の立て方を解説します。

ステップ① ターゲット人材に響くコンテンツテーマを選定

まず重要なのは、「誰に」「何を」伝えるかを明確にすることです。採用したい人材像(ペルソナ)を具体的に設定し、その人材が知りたい情報、共感するテーマを考えます。 

例えば、エンジニアを採用したいのであれば、開発環境や技術スタック、技術的なチャレンジの内容などが重要な情報になります。マーケターであれば、施策の成果事例や意思決定のプロセス、使用しているツールなどが関心事になるでしょう。

ターゲットの関心事を理解した上でコンテンツを作成することで、応募につながる効果的な発信ができます。

ステップ② 社員インタビュー・ストーリーを効果的に

社員インタビューは採用広報の中でも特に効果的なコンテンツですが、単なる質疑応答形式では魅力が伝わりにくいものです。効果的なインタビューを作成するには、以下のポイントを意識しましょう。

  • 具体的なエピソードを引き出す 
    • 「やりがいを感じます」といった抽象的な回答ではなく、「このプロジェクトで顧客から感謝の言葉をもらったとき」など、具体的な場面を語ってもらうことで、リアリティが増します。
  • 課題や葛藤も含めて伝える 
    • 良い面だけでなく、困難だった経験やそれをどう乗り越えたかを語ることで、よりリアルで共感を呼ぶストーリーになります。写真や動画で雰囲気を伝える インタビュー対象者の表情や仕事風景を視覚的に伝えることで、文字だけでは伝わらない雰囲気や人柄が伝わります。

ステップ③ 数字やデータを活用し、信頼性の向上へ

コンテンツの信頼性を高めるには、具体的な数字やデータを盛り込むことが効果的です。

例えば、「充実した研修制度があります」ではなく、「年間30時間以上の研修時間を確保し、外部セミナー参加費は全額会社負担」と具体的に示すことで、説得力が増します。

事業の成長率、社員の平均勤続年数、育休取得率、リモートワーク利用率など、候補者が気になる数字を適切に開示することで、企業への信頼感が高まります。

ステップ④ 継続的な発信のためのコンテンツカレンダーを作成

SNS運用を継続するには、計画的なコンテンツ作成が欠かせません。コンテンツカレンダーを作成し、いつ、どのようなテーマで発信するかを事前に決めておくことで、スムーズな運用が可能になります。

例えば、毎週月曜日は社員インタビュー、水曜日は事業紹介、金曜日は社内イベントレポート、といった形でテーマを決めておけば、ネタ切れを防げます。また、季節のイベント(新年度、夏季休暇、年末年始など)に合わせたコンテンツも計画的に準備できます。

ただし、カレンダーに縛られすぎる必要はありません。タイムリーな話題や突発的なイベントがあれば、柔軟に対応することも大切です。

採用広報でよくある「3つの壁」を、いかに解決するか?

ここまで採用広報の効果や具体的な手法を解説してきましたが、実際に取り組もうとすると、多くの企業が直面する課題があります。

  • 課題① リソース不足(人手が足りない) 
    • 採用広報は、コンテンツの企画、制作、投稿、効果測定など、多くの工数が必要です。特に中小企業やスタートアップでは、人事担当者が採用業務と兼務で行うことが多く、継続的な発信が難しいのが現実です。
  • 課題② ノウハウ不足(何を発信すればいいかわからない) 
    • SNS運用の経験がない担当者にとって、「何を」「どう」発信すればいいのかが分からず、手探り状態になりがちです。投稿しても反応が薄い、どんなコンテンツが効果的なのか判断できない、ライティングのスキルが足りないといった悩みを抱える企業も少なくありません。
  • 課題③ 継続の難しさ (最初は頑張れても続かない) 
    • 採用広報は短期間で成果が出るものではありません。数カ月、半年と継続して初めて効果が現れることも多く、短期的な施策に集中しすぎるがあまり、長期的に継続することが難しくなるケースが多いのです。

副業・業務委託人材の活用で、解決できる

これらの課題を解決する有効な方法の一つが、副業・業務委託人材の活用です。

採用広報を成功させるには、マーケティング、ライティング、SNS運用、コンテンツ制作など、多様なスキルが必要になります。これらすべてを社内の人材だけでカバーするのは容易ではありません。

そこで注目されているのが、必要なスキルを持つ副業人材に、週5〜10時間程度の稼働でチームに参画してもらう形です。正社員を採用するよりも低コストかつスピーディーに、専門スキルを持つ人材の力を借りられます。

副業人材と始める、採用広報の成功パターンとは?

それでは、実際に副業・業務委託人材を活用して採用広報を成功させるには、どのように進めればよいのでしょうか。ここで、採用広報で成果を出すために、特に有効な副業人材の職種を紹介します。

  • マーケター 
    • SNS戦略の立案から効果測定まで、全体の戦略設計を担当してもらえます。週10時間程度の稼働で、月次のコンテンツカレンダー作成、投稿の効果分析、改善提案などを任せることができます。
    • デジタルマーケティングの経験がある人材であれば、SNS広告の運用も含めた統合的な採用マーケティング戦略を構築してもらえます。
  • ライター・編集者 
    • 社員インタビューの取材・執筆や、採用ブログ記事の作成を担当してもらえます。文章のクオリティが上がるだけでなく、取材や編集のノウハウも社内に蓄積されていきます。
    • 週5〜10時間の稼働で、月2〜4本の質の高いコンテンツを制作できます。
  • SNS運用経験者 
    • 日々の投稿作成、スケジュール管理、コメント対応などの実務を担当してもらえます。これにより、人事担当者は本来の採用業務に集中できるようになります。
    • 企業によっては、SNS運用の経験がある現役の人事担当者を副業人材として迎え入れ、他社の事例やノウハウを共有してもらうケースもあります。

こうした専門知識や経験を持つ人材に、社内のチームに入ってもらうことにより、社内で育成や採用などによりリソースを確保するよりも、早く効果的に成果を上げることができます。しかも、副業や業務委託の人材を活用すれば、必要な業務量に応じた報酬となり、コスト面でもメリットが生じます。

ただ、副業や業務委託の人材を活用するにはポイントもあります。それが、社内メンバーとの適切な役割分担です。

最適な副業人材と社内メンバーの役割分担とは?

副業人材を活用する際に重要なのは、社内メンバーとの適切な役割分担です。

副業人材には、専門性が求められる領域を担当してもらいます。戦略立案、コンテンツ制作、SNS運用の実務などが該当します。

一方、社内メンバーは、企業の方向性の決定、社員インタビューの調整、コンテンツの最終チェックなど、社内でなければできない業務に集中します。

この役割分担により、副業人材の専門性を最大限に活かしながら、企業の意向をしっかり反映したコンテンツ作りが可能になります。

採用広報は「やるかやらないか」ではなく「どう実現するか」

採用競争が激化する中、採用広報は「あればいいもの」から「必須の施策」へと変わりつつあります。採用広報を通じてSNSで企業の魅力を発信し、候補者との接点を増やすことで、応募数の増加が期待できます。社員のリアルな声を届けること、継続的に情報を発信すること、そして候補者との信頼関係を築くことが、採用成功の鍵となります。

一方で、多くの企業が直面するのが「リソース不足」「ノウハウ不足」「継続の難しさ」という3つの壁です。これらの課題があるからといって、採用広報を諦める必要はありません。

重要なのは、「採用広報をどうやって実現するか」という視点です。

社内リソースだけで完結させようとするのではなく、副業・業務委託という新しいチームの作り方を選択肢に入れることで、採用広報の実現可能性は大きく広がります。週5〜10時間の副業人材の力を借りるだけで、専門性の高いコンテンツ作りや、継続的なSNS運用が可能になります

採用広報は、短期間で劇的な成果が出るものではありません。しかし、コツコツと継続することで、半年後、1年後には確実に成果が表れます。SNSのフォロワーが増え、投稿へのエンゲージメントが高まり、そして何より、企業の価値観に共感した質の高い応募者が集まるようになります。

今日この記事を読んだことが、あなたの会社の採用広報を始める第一歩になれば幸いです。まずは小さく始めること、そして必要に応じて副業人材の力を借りること。この2つを意識するだけで、採用広報は決して難しいものではなくなります。

採用広報を通じて、あなたの会社の魅力がより多くの候補者に届き、素晴らしい出会いが生まれることを願っています!

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