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“スター社員”における副業の可能性
以前は、松村さんの出身校でもある横浜国立大学にも勤務していましたが、今は神戸大学大学院…
2019.08.01
2020.04.14
“シューマツワーカー アンバサダー”とは、人材領域でご活躍されている方々に副業や働き方改革を世の中に広めるアンバサダーを務めていただき、シューマツワーカーと共に世の中へ一次情報の発信・啓蒙を行っていただくプロジェクトです。
今回は、企業の経営者を対象とした社外CHRO(最高人材リソース責任者)サービスやCHROの育成・トレーニングをおこなうCHROカレッジを主催する株式会社RECOMO(リコモ)・CEOの橋本祐造さんと共同経営者COOの押田絵梨香さんにお話を伺いました。
Contents
代表の橋本祐造さん
松村:いつもTwitterなど拝見しています! 橋本さんと押田さんが“副業社員採用”についてどのようにお考えか大変興味があったので、本日はすごく楽しみです。まずはお二人でRECOMOを創業されたきっかけから教えてください。
橋本祐造(以下、橋本):橋本祐造と申します。人事歴は、前職も含めてトータル15年ほどになります。長く勤めていたのはGMOインターネット株式会社です。その後は、独立しいろいろな企業に人事コンサルや人事顧問として携わったり、人事部長として就職したり、一時期は総務の責任者をしていたこともあります。
2019年10月、人事責任者をしていたユニファ株式会社を退職。「人が可能性・価値を最大限に発揮できる組織づくり・社会システムづくりに貢献する」という信念のもと、株式会社RECOMOを創業しました。押田にCOOになってもらい二人三脚で事業を進めています。
押田絵梨香(以下、押田):松村さん、初めまして! 押田と申します。これまでのキャリアは主に営業・組織の体制づくりや事業づくりを行ってきましたが、2018年に橋本と出会いRECOMOを共同創業しました。現在はCOOとして橋本と共に描いている「人の可能性・価値を最大化できる社会を創る」を形にすべく、複数のプロジェクトを並行して進めています。
左がCOOの押田絵梨香さん
松村:RECOMOではどのような事業を展開しているのでしょうか。
押田:現在の事業の柱は二つあります。一つ目は『社外CHROサービス』といって、経営視点で人事戦略を立てて、課題解決をしていくCHRO機能です。目先の課題ではなく未来の在りたい姿から今を見て、経営レベルから組織に落とし込んでいきます。
具体的には、経営者の方と定例セッションをしながら同じ目線に立って、経営状況や理念、理想の状態と現状のギャップなどを把握した上で、戦略の立案からプロジェクトの実行・定着までをチームでサポートしています。
独自のフレームワークやサーベイなどを使って、人と組織の状態を定期的に確認しながら、人がベストパフォーマンスを発揮できる状態を目指しています。
二つ目は、「CHROカレッジ」です。「CHROカレッジ」は座学でインプットするのではなく、スキル経験を応用して「思考力を磨く場」として約半年前に立ち上げました。東京だけではなく大阪・福岡を始め全国各地のメンバーが集まってくれて、今では50名以上の方に参加していただいています。
定例会ではワークショップやディスカッションを中心に行い、CHROとしての考え方、視座をアウトプットを通じて疑似体験することができます。メンバーのやりたいことを実現できる環境をつくりたく、現在は分科会やオフ会なども開かれています。
松村:橋本さんは長年、採用や育成に携わっておられますが、今と昔で採用市場はどのような変化がありましたでしょうか?
橋本:正直、「あまりおもしろくなくなってきたな」というのが本音のひとつです。発信されている情報がどんどん「HOW(どうしたらいいか)」に寄ってきていて、つまらないんですよね。あくまで私個人の感想ですが。
松村:採用手法のほうに注目が集まってしまっているということですよね。
橋本:そうです。マクロで今後の採用や、人と組織の関係について語る人があまりいないんですよね。新卒採用や中途採用、リファラル採用など、目先の採用のテクニックの話ばかりの印象です。もっと本質的な部分に目を向けた方がいいのにな、と思っています。
私が興味関心があるのは、“2060年の採用と組織”です。
松村:“2060年”ですか? もう少し詳しく教えてください。
橋本:現時点で日本の労働人口は総人口のうち60%くらいと言われています。ざっくり7700万人くらい働いているんですよね。それが今から40年後、つまり我々の子どもや孫が働き手になる時の労働人口は50%ほどまで低下し、且つ総人口も減っているので約4300万人ほどしかいない計算になります。
そのときに何が起こると思いますか? わたしがよく言っているのが、“会社が溶けていく”ということ。『企業が正社員を雇用することが自体が成立しなくなる』ことを意味します。そうなった時に企業が生き残る方法は、主に2つになります。
ひとつは、外国人労働者を積極的に受け入れること。それには覚悟が必要です。今まで外国人労働者を受け入れる際のポイントは「その人が日本語を話せるかどうか」でした。しかしこれからは、逆に「日本人が」外国語、特に英語や中国語を話せることが求められるようになり、外国人労働者が働きやすい職場環境を構築することが求められます。
もうひとつは、副業が当たり前になること。仕事をシェアする「ワークシェアリング」の時代から、人材をシェアする「人材シェアリング」の時代になると思っています。つまり、一人の人材を複数の会社が共同で案件を依頼する状態です。会社が溶けていったときに残るものは、コミュニティです。興味関心のあるところに人々が集まってコミュニティができ、そしてプロジェクト化される。
そういう未来が予測できるにも関わらず、なぜ人事担当の方たちは、自社の目先の雇用だけを語るのだろうか。そこに違和感を感じております。だから私は副業解禁に大賛成です。
松村:僕らシューマツワーカーも、企業・個人それぞれにとって、選択肢が “正社員雇用” しかないことはリスクだと考えています。例えば、企業が人件リソースを固定費だけで持つことは景気変動や業績変動の際、大きな足かせになりますよね。フリーランスや副業社員は、必要なときに必要な分だけのリソースを調整できます。働き手側の個人も、会社単位で仕事を求めるのではなく、プロジェクト単位で仕事を求める時代が来ると思っております。
少し前までの副業社員は、なかなか正社員で採用できないベンチャー企業が活用するシーンが大多数でした。しかし昨今は大企業でも取り入れています。例えば、新規事業を立ち上げる際に副業のマーケターやPMを採用するパターンや、業務効率化のために一部の業務フローを副業社員にアウトソースするパターンです。後者はBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)に近い発想ですね。
橋本:先ほどお話した2060年の世界についてですが、もう少し説明させてください。世の中には、2060年に、ある日突然に人口が減ると思っている人が多いんです。しかし現実には労働人口はこの先 “2年ごとに100万人ずつ” 減っていくんですよ。
私は5年以内に、「人手不足倒産」という言葉が「よく聞く言葉」になると思っています。そのときに初めて、多くの人が「今のままではまずいのでは?」と気づくと思うんです。
松村:地方企業は特にそうなりそうですね。
橋本:そうですね。そのために企業には今から準備をしておいてほしいんです。
松村:僕たちはその解決策として「リモートワーク」を推奨しています。地方企業が人手不足になるのは、地方で人材を探そうとしているからだと思っています。
橋本:その通りですね。
松村:リモートワークができるなら、働く場所は都心でも海外でもいいんですよね。だからシューマツワーカーは企業様と、「どうやってリモートの人と一緒に業務ができるのか」を考えるべきだと話しています。
橋本:リモートワークが当たり前になると、副業社員活用はさらに進みますね。ほぼ、やらない理由はなくなってくると思います。
松村:橋本さんは、どうすれば企業の採用はもっと変わっていくとお考えでしょうか?
橋本:人事担当自身が、もっとリモートワークを体験したり、副業をしてほしいと考えています。地方企業やベンチャー企業には、採用で困っている企業がたくさんあるので、ニーズはすごいあると思いますよ。
初めてのリモートワークや副業は失敗も多いと思います。でもそこから得られる学びが、“2060年の人と組織” において、必ず役に立つはずです。
松村:そうですね、未来に向けてどんどんチャレンジングな組織作りを行える企業が増えるよう、僕らも情報発信していきたいと思います。橋本さん、押田さん、本日はありがとうございました!