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なぜ企業は副業社員を活用すべきなのか
「副業元年」と言われている2018年 1 月には厚生労働省によりモデル就業規則の改定案…
2020.07.15
2020.07.04
副業で手伝ってもらいつつ、そのまま正社員としてジョインしてもらうという話はよく聞きます。実際に副業社員活用をしている企業の多くはそれを期待しているでしょう。しかしケースとしてはまだ少なく、本当に副業社員活用は正社員採用の有効な手段になりうるのか、という疑問の声もよく耳にします。
結論としては、なりえます。
ただし全てケースで採用できるとは限りません。むしろ副業したい人のモチベーションとして「転職先を探している」というケースは多くはありません。
しかし、それでもなお、副業社員の活用は有効な正社員採用の手段になると言えます。その理由を次項にまとめました。
一般的な採用フローと比較して副業社員から採用するフローでは、3つの点で決定的に勝っています。
1つ目は、採用市場だとなかなかいない優秀な人材に会えること。
パーソルキャリア株式会社の調査によると、2019年7月の求人倍率は2.48倍、技術系(IT・通信)に絞れば9.73倍との結果が出ております。
※「doda 転職求人倍率レポート」
https://www.persol-career.co.jp/pressroom/news/research/2019/20190808_02/
優秀な人材は引く手あまたで、知名度があり高い給料が払える企業には採用競争で敵いません。それどころか、会うことさえもなかなか難しい状況です。
しかし副業社員であれば、まだまだ需要(仕事)よりも供給(人材)の方が多く、驚くほど簡単に優秀な人材に出会えます。転職市場では出会えない優秀な人材と出会える可能性は高いです。
2つ目は、採用後のミスマッチを減らせることです。
早期退職の一番の理由は、「入社後のミスマッチ」です。お互いに面接の場だけでミスマッチを防ぐことにも限界があります。直近の採用のトレンドとしても、カジュアル面談や社員との面談、自社のイベントに来ていただくなどよりタッチポイントを増やして、候補者に自社の理解を深めてもらおうという動きが活発です。ただ、いくらタッチポイントを増やして理解を促進したとしても「働いたことがない」という壁は大きく、入社後のミスマッチを防ぐための決定的な施策とは言えないかもしれません。
ただ、もし事前に数か月の副業期間があれば、お互いが実際にどういう風に働いているのか、どういう流れで業務が進んでいくのか両者のイメージが明確になり、副業期間後の採用後のミスマッチは減少するでしょう。
3つ目、リレーションシップ構築です。
年々買い手側の競争が激しくなる転職市場においては、エージェントに登録をして転職意向が顕在化している方だけではなく、いかに転職意向が顕在化していない方に早期アプローチできるかがカギとなります。最近は「優秀な人材ほどリファーラル(社員からの紹介)で決まる」とも言われています。優秀な人材は社内でも優遇されてそれなりのポジションにいるため、転職意向が低くエージェントに登録するよりも、すでに転職意向が顕在化する前に関係値ができている友人や知人からの紹介で転職が決まるケースが多いです。
一方、エージェント経由で優秀な方が見つかったとしても、優秀な方程多くの求人を紹介され、その多くの求人で内定が出るため、かなりの競争が予想されます。しかし、採用したい人材に副業で実際に働いてもらえれば、転職意向が顕在化する前段階で通常の採用プロセスでは中々構築できないリレーションを構築できます。
もちろん、そこから転職を決めるかは、「実際に働いてみた企業としての魅力」が一番の意思決定ポイントですが、転職意向が顕在化する前に長期的にタッチポイントが作れることで、自社を魅力に感じてもらえるチャンスは、どの企業よりもアドバンテージを持っていると言えるでしょう。
先述したように、“転職先を探すため”に副業を行う人は少ないです。副業を始める前に、「将来この会社に入る可能性が少しでもあるのか?」を事前に考慮しておくことが重要です。
また副業期間は、副業社員も企業のことをよく観察します。その方が所属する会社に求めることや、将来のキャリア、価値観などをよく理解して真摯に接することと、何より魅力的な組織と事業を作ることが重要だと言えるでしょう。