「“畳み人”の副業が増える」幻冬舎・設楽悠介氏と考えるこれからの働き方

“シューマツワーカー アンバサダー”とは、人材領域でご活躍されている方々に副業や働き方改革を世の中に広めるアンバサダーを務めていただき、シューマツワーカーと共に世の中へ一次情報の発信・啓蒙を行っていただくプロジェクトです。

今回は株式会社幻冬舎に務めながら書籍の出版や講演、上場企業の新規事業アドバイザーなど幅広く活躍されています設楽悠介さんにお話をお伺いしました。

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幻冬舎で会社員をしながら複数の企業で活躍 

 シューマツワーカー代表取締役の松村幸弥(左)、株式会社幻冬舎の設楽悠介さん(右)

松村:書籍発売おめでとうございます! 設楽さんは幅広い肩書きで活躍されているかと思いますが、まずは簡単に自己紹介をお願いできますでしょうか?

 

設楽:どうも、設楽悠介です。メインは幻冬舎の正社員として働いていまして、コンテンツビジネス局の局次長をしつつ、新規事業の立ち上げや書籍の編集、ブロックチェーンに特化したメディア「あたらしい経済」の編集長などを担当しています。

その他にも、幻冬舎のグループ会社何社かの役員をしたり、他の会社に副業として入ったりしてます。

 

松村:名刺の数がすごそうですね(笑)。また、シューマツワーカーに登録していただき副業社員としても活躍されてますよね。

 

設楽:そうですね。シューマツワーカーさん経由でもいくつかの企業さんでアドバイザーとして副業させてもらっています。

 

松村:企業様からも感謝されています! さすがです! もともと副業や社外の仕事には興味があったのでしょうか?

 

設楽:実はそう言うわけでもないんです。仕事の幅が社外に広がったのは『Voicy』という音声コンテンツ配信サービスでNewsPicksの野村高文さんと「風呂敷畳み人ラジオ」という番組をはじめたことがきっかけです。NewsPicksとは以前から共同で企画をすることが多かったので、僕と似た働き方をしている野村さんと二人でコンテンツ発信をしようとノリで始めたんです。

ただ、その放送をありがたいことに多くの方に聴いていただき、イベントの登壇依頼などもいただけるようになり、そのうち「うちの会社を手伝ってほしい」というご依頼もいただけるようになりました。それから副業を多くするようになりましたね。

“広げ人”は0→1 、 “畳み人”は1→100

松村:「風呂敷畳み人サロン」といオンラインコミュニティも運営されてますよね。“畳み人”の定義について改めて教えていただけますでしょうか?

 

設楽:例えば大きな絵(ビジョン)を描き、そこに向けて旗を振るのが経営者やリーダーに求められる “広げ人” の役割。その傍らで経営やプロジェクトを着実に遂行し結果を出すのが “畳み人” の役割です。CEOは広げ人、COOは畳み人というイメージですね。

 

松村:うちの会社にも畳み人はいますね。決してメディアに出たりSNSで有名だったりとかではないのですが、常にプロジェクトの中枢を担ってくれています。

 

設楽:そうなんですよね。畳み人は社長やプロジェクトリーダーなどの広げ人と違って光が当たらないことが多いんです。でも広げ人のように0から1を生み出す力ももちろん重要ですが、同じくらい重要なのが1を100まで持っていくために影で支えている畳み人だと思っています。

メディアやSNSで目立っていなくとも、畳み人は業界内や会社内でしっかりと評価されます。僕自身も畳み人として地道に働き続けていたことで、いろいろな業務を任せてもらえるようになり、グループ会社の役員にも就任することができました。そして最近は、広げ人としての仕事も任せてもらうことも増えています。

 

松村:たしかに会社の中に広げ人だけしかいないとうまくいかないんですよね。設楽さんの本を読んで、「自分が採用したいのは畳み人だ!」ってすごい思いましたね。

 

設楽:コミュニティをやっているのも「誰か良い畳み人いない?」と声をかけられたときに紹介できるようにチームを作っておきたいという思いもあるからです。

焦ってすぐに“広げ人” を目指す必要はないと伝えたい

松村:ということは今回の書籍も畳み人になりたい人向けに書かれたのでしょうか?

 

設楽:『畳み人という選択』を読んでもらいたい読者層は2つあります。

1つは、20代から30代で周りの人がメディアやSNSなどで活躍しているのを見て「自分はこのままでいいのか?」と焦り始めているビジネスパーソンです。そういう人に対して「畳み人のポジションになって目の前の仕事をしっかり実行に移すことに注力して、そして何にでも通用するビジネスの基礎筋力をつければ、もっと大きなチャスが来るから大丈夫だよ」と伝えたいと思います。

 

松村:たしかに派手な経歴の人より、いろんなプロジェクトを縁の下の力持ちになって支えている人のほうが1つの企業で長期的に活躍しているイメージがありますね。

 

設楽:プロジェクトの仕組みやリリースまでの業務フロー、見るべきKPI指標やリーガルリスクやコスト管理まで、実務を知っているのはやはり広げ人ではなく畳み人なんですよね。畳み人の価値は高いのです。

そして読んでもらいたいもう1つの読者層は経営者やリーダーの方々ですね。つまり広げ人です。組織において、目立たないけれど畳み人のポジションは重要です。そういう人をどう育てていくのかを参考にしてほしいですね。

企業が求めている副業社員は “畳み人”

松村:少し話が変わりますが、働き方改革で副業が浸透し、設楽さんのように正社員をしながら副業もしている人が徐々に増えていますよね。さらに今回の新型コロナウイルスの影響で、“働き方の変化” はもっと加速すると言われていますがどうお考えでしょうか?

 

設楽:働き方の価値観は確実に変ってきていると思います。もちろんコロナが大丈夫になったら元に戻る部分もあると思いますが、変化はこれから加速するのではと予想しています。

特に大きいのはテレワークですね。例えば結婚や出産によってキャリアを中断している女性が、テレワークで働き続けるなどの選択肢も増えるのではないでしょうか。

 

松村:IT企業だけじゃない、社員数が数千人以上の多くの大手企業もテレワークになってましたしね。働き方改革を推し進める弊社としては、かなりインパクトのある事象でした。

 

設楽:テレワークにより、時間の使い方は大きく変わりそうですね。今まで副業を検討したことない人も「テレワークによって移動時間がなくなったから、この時間を利用して他の会社でも働けるのでは?」と気づきはじめています。

働くということにとって時間や距離の制約がフレキシブルになっていくということは、それだけ新しい機会を産むようになると思うんです。

少し前までは例えば企業のアドバイザーなどで働けるのは比較的年齢層が高くてキャリアと実績を積んだ重鎮みたいな人が多かったと思います。でもそんなアドバイザーのような仕事ももっとカジュアルになっていくんではないでしょうか。

僕のように“普通の会社員”なんだけど、他の会社もアドバイザーで手伝ったり他のプロジェクトにもジョインしているみたいなケースが今増えていますよね。

さらに、昨今はあらゆるビジネスで業界や仕事内容の垣根がどんどんなくなっています。そんな状況で企業がサバイバルしていくには、新しいアクションをどんどんしていかなければいけない。新しいナレッジをどんどん取り入れていかなければいけない。従来の雇用形態や労働モデルに縛られず、その辺りをどんどん変化させていける企業がこれからは生き残っていくはずです。

そういう状況の中で、副業という働き方ももっと広がっていくし、そしてそこから生まれる数多くのプロジェクトをちゃんと実行するためには僕のような畳み人の需要もより増えてくると思っています。

 

松村:シューマツワーカーで紹介している副業社員の多くは、まさにそれですね! 大企業の取締役など華々しい経歴はないけれど、実際にIT企業でプレイヤーとして活躍している20代後半から30代前半が多いです。企業もアイディアや知識より、「スキルがある人に実際に作業をしてもらうこと」に価値を感じていますね。

 

設楽:これから生き残れるのは “流動的” な組織を作れる企業だと思っています。

「正社員だけしか採らない」などの旧態依然とした採用方針をとっていたら、副業社員やフリーランス、在宅ママなどの人材を採用していて柔軟な組織を作っているライバル企業には勝てないと思います。

逆に言えば、変化することができれば、個人も企業もステージを一気に上げるチャンスが来ていると思います。

 

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