副業=小遣い稼ぎ ではなく、プロフェッショナルの“人材シェアリング”

 “シューマツワーカー アンバサダー”とは、人材領域でご活躍されている方々に副業や働き方改革を世の中に広めるアンバサダーを務めていただき、シューマツワーカーと共に世の中へ一次情報の発信・啓蒙を行っていただくプロジェクトです。

今回は、プロ人材アサインサービス「プロの副業」で事業責任者を務める飯田賢平さんにお話をうかがいました。


「プロの副業」
https://profuku.com

ベンチャー企業の採用難に“副業”という選択肢を提案

ーー今日はよろしくお願いいたします! まずは自己紹介からお願いいたします。

飯田賢平さん(以下、飯田):前職の「宣伝会議」で上司だった小野と共に独立して、株式会社ホールハートを創立しました。起業して今年で10年になります。

ホールハートでは、主に新卒採用と転職が軸となっていましたが、時代の流れを見て2017年に副業に特化した人材サービス「プロの副業」も始めました。1年ほど立ち上げ期間があり、2018年から本格的に運用し始めています。

プロの“副業”というサービス名ですが、私たちの会社では副業ではなく“人材シェアリング”と呼ぶようにしています。なぜなら、サブの副業を行う人材ではなくプロフェッショナルな人材をご提案することに注力しているからです。

――時代の流れとおっしゃっていましたが、「プロの副業」を立ち上げた背景についてくわしく教えてください。

飯田:プロの副業の素案は、代表の小野が以前から持っていました。新卒採用や転職の事業を行っているさなか、ベンチャー企業の採用難をずっと肌で感じていたからです。ベンチャー企業は学生や転職希望者に内定を出したとしても、年収面で大手のライバル企業に負けてしまったり、安定感に欠けて辞退されてしまうという課題があります。

しかし、副業という働き方が浸透し始めた2017年ごろから「内定は辞退したけど、副業や業務委託であれば関わりたい」という人が増えてきたのです。そこに需要を感じて「プロの副業」を立ち上げるにいたりました。

人材会社は候補者のモチベーションを上げるコーディネート力が求められている

――起業されてから10年経ち、転職市場は昔と今でどのように変化していますか?

飯田:起業した2009年はリーマンショックの直後だったので、ほとんどの企業で中途採用が凍結されている状態。当時はダイレクトリクルーティングやリファラル採用などはほとんどなかったので、採用市場はかなり苦しい時期でした。

その後、ソーシャルゲーム企業やアプリ開発企業が盛り上がってきて採用も活発になりましたね。WantedlyのようなHR系のサービスも出てきて、採用のチャネルも増えました。

さまざまな採用チャネルができた結果、人材紹介会社として介在価値が問われるようになってきました。たとえば、単に人材を紹介するだけではほかの採用チャネルを利用されてしまう。なので、提案やクロージングのときに転職希望者のモチベーションを上げるなどのコーディネート力が求められるようになりました。

――なるほど。その介在価値のひとつとして、副業という新しい働き方の提案につながるんですね。副業市場は今後どう広がっていくと思いますか?

飯田:副業市場はまちがいなく大きくなります。「副業できる会社を紹介してください」という転職者の声も増えてきました。副業を希望する人は本業でも活躍 している優秀な人材が多いですね。

ただ一方で、副業人材を積極的に採用したいという企業の需要はまだ発展途上の印象です。プロの副業からプロフェッショナル人材を採用していただいた企業の満足度は高いので、結局は“食わず嫌い”なのではないかと思います。一度導入していただいたら「次は他のポジションでもう一人お願いしたい」と言われることが多いです。だからまずは副業人材を採用してみる、という企業を増やしていくのが直近の目標ですね。

働き方改革とともに、“雇用の改革”も求められている

――副業人材採用のネックになっている大きな理由は何だと思いますか?

飯田:課題となっているのは、ベンチャー企業の場合だと、コミット力を求められるところですね。リモートワークの場合、連絡がリアルタイムで取りづらかったり日中の会議に参加できないことがネックになってしまいます。

ただ、労働人口が減少し続け、ミドル・ハイクラスの人材はどこの企業も欲しているなかで「社員で採用できないなら副業やフリーランスの人たちで補おう」という流れが徐々に生まれてきています。だからシューマツワーカーさんやプロの副業のように、企業と副業したい人をマッチングさせるサービスはどんどん増えていくのではないでしょうか。

また、“副業”というワードが企業にとってはライトな印象を与えているのも原因のひとつだと思います。いわゆるアルバイトや小遣い稼ぎの手段だと思われてしまう。シューマツワーカーさんもそうですが、実際にアサインするのは“本業で培ったスキルを活かした”副業人材ですよね。だからプロの副業では“プロ人材をアサインするサービス”と言うようにしています。

ーー正社員に任せる業務と副業人材に任せる業務の切り分けが鍵になりそうですね。

飯田:おっしゃるとおりです。正社員は企業にコミットしますが、副業人材は業務やアウトプットにコミットします。だから正社員がマネジメントする立場になり副業人材には手の足りないところをサポートしてもらったり、社内にはない知見を提供してもらうかたちで業務を切り分けられるのが理想ですね。

だからプロの副業では、社長直下のポジションや役員クラスに専門スキルのある人材をアサインすることが多いですね。

――最後に、労働人口が減る中で採用担当はどのようなことが求められていると思いますか?

飯田:雇用にこだわらない働き方・組織づくりを検討するところではないでしょうか。組織がうまくワークするには、正社員だけでは限界がきています。そう考えると、働き方改革とともに“雇用の改革”も進めていかなくてはいけないと思っています。

 

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