「ミッション」駆動のエンジニア組織における副業人材の活用方法とは?|株式会社TENTIAL

ウェルネス領域での自社ブランドとECモールを展開する急成長スタートアップ、株式会社TENTIAL様。エンジニアチームは3年前の1名から現在20名の組織へと急成長を遂げました。ミッション駆動で四半期ごとにチームを組み直すという独特の組織体制を持つこのチームでは、創業初期から副業メンバーが活躍しています。

「健康に前向きな社会を創り、人類のポテンシャルを引き出す。」をミッションに、スポーツ業界・アスリート出身の若いメンバーが多く集い、人の健康に真剣に向き合う社風が育まれる一方、ソフトウェアだけでは完結せず、リアルな「モノ」を扱うECサービスならではの難しさに挑むのが、株式会社TENTIAL様のエンジニアチームです。

今回は、株式会社TENTIAL 執行役員CTO 市來 晟弥様に、副業人材を活用しながら成長し続けるエンジニア組織のチームづくりについてお伺いしました。

1人から20人へ。3年で20倍となったエンジニアチーム

ーーまずは事業について教えてください。

僕たちTENTIALは、「健康に前向きな社会を創り、人類のポテンシャルを引き出す。」というミッションを持つ会社です。

事業は大きく2つ、1つはD2Cブランド「TENTIAL」。健康領域、ウェルネス領域で商品展開をしています。もうひとつが「KENCOCO」というウェルネス領域に特化したECモールです。

少しTENTIALの事業展開の歴史をご紹介しますと、もともとは「スポシル」というスポーツメディアをやっていました。そのメディアのトラフィック分析からわかることがいろいろと出てきて、そこからD2Cブランドが立ち上がったんです。例えば「足腰に不安を抱えている人が多い」という結果がわかることで、そうした読者層に対して解決策となるような商品を提供する。

さらに、自社でECサイトを運営して「自社で開発して物を売る仕組み」ができてきた時に、では他社様にもこのスキームを提供したらどうだろうと始まったのが、ECモールの事業なんです。

カルチャーは、もともとスポーツ出身者が多いという特徴があります。
僕が参画したのは創業から1年後の2019年ですが、TENTIALの中にある、スポーツや原体験を中心に世の中に貢献するという意識は変わらないと思います。その意識が今のミッションにも繋がっています。

集まっているメンバーは健康に関心の高いメンバーが多いです。お子さんがいらっしゃるメンバーや、多様なメンバーが在籍していますが、スポーツ経験者のメンバーも多くいます。最近ではビジネスアスリートという言葉もありますし、これから人生100年時代と言われる中で、健康にいかに向き合うか、その課題解決に真正面から向き合うカルチャーがあると思います。

ーー市來様はどのような経緯でTENTIAL様に入られたのでしょうか。

僕もスポーツをずっとしていたんです。途中で辞めてしまうことにはなったのですが、福岡の東福岡高校という強豪校でプレーしたく、中等部から東福岡でサッカーをしていました。代表の中西とは起業前の段階で、同い年で、当時教育系スタートアップというお互い界隈が近い業界で働いていたのもありますが、サッカー好きの繋がりで仲が良かったんです。

中西の創業当時、起業したことは知ってはいたんですが、まだ直接関わってはなかったんです。ただ、当時いたオフィスがお互いにとても近くて、よく一緒にランチに行くようになりました。

そんな中で、「次の仕事なにしようかな」という話をしたら、「TENTIALでエンジニアを探している」という話になって。スポーツメディアのリニューアルが最初の仕事でした。

ーー入社されてから今日まで、TENTIAL様のエンジニア組織はどのような変化がありましたか。

大きな変化がありました。僕は正社員として一人目のエンジニアで、現在は20名ほどのチームになっていますから、単純に20倍の規模拡大です。チーム構成なども変化してきました。

僕が入った時、シューマツワーカー経由で副業のエンジニアとの契約はすでにあって、エンジニアとして動いているのはそのエンジニアだけ、という状況でした。正社員メンバーのエンジニアはいなかったんです。エンジニアの仕事が必要な時には、正社員メンバーのディレクターが、副業メンバーのエンジニアに対して直接、仕様を説明する形になっていました。

エンジニアの正社員採用は事業の成長につれて、難易度が上がっていく

ーーそこから現在の20名体制まで。エンジニアチームはこの3年で20倍の規模になっています。採用活動はどのようにされていますか?

採用活動は、人事メンバーを中心に進めています。ただ、現在のフェーズは、大規模に採用活動をするというよりは、将来的に上場を見据えた上で、100〜200人の規模になっても大丈夫なように、組織固めを進めるフェーズと捉えています。

そんな中、エンジニアの採用難は実感しています。この数年でもどんどん厳しくなってきています。もちろん、僕たちの事業が成長するにつれて、求める人材のレベルも上がってくるというのもあります。

ハイクラス層、シニア層がそもそもエンジニア領域にはまだ少ないということもあり、シニアレベルのエンジニア採用には非常に苦労しています。

魅力的なミッションを伝えること、候補者さんが「やってみたい」と思えるようなミッションを伝えることが重要だと思って、考え方や仕組みづくりに注力しています。

ーー新しく入ってくるエンジニアに求めたいことはありますか?

タスクや事業に対して自走する人は一定いると思うのですが、最終的には会社のミッションに対して自走できるかが重要だと思うようになりました。ミッションベースで一つ一つのタスクを語れるかを重視していきたいです。それができる人はTENTIALにフィットする人だと思います。

ーー副業メンバーはどのような業務をしていますでしょうか。

当初からいるエンジニアの副業メンバーもいますが、現在は、経験豊富でスキルのあるエンジニアの方に、組織を中長期的に支えるような役割を担ってもらっています。

その副業メンバーにお願いしているのは、中長期のロードマップを引いた上で、それに対してフィードバックをいただいたり、アドバイスをいただいたりということです。

これは非常に重要で、TENTIALのエンジニアは組織としてジュニア層もいて、ハイクラス層が充足しているわけではない、という状況なんですね。そこに経験値の高い副業人材が入ってくれたことで、目標を現実的なものにするとか、目標と現実のギャップを埋めるための具体的な動きについて詰めていくといったことができるようになりました。

もう少し具体的には、TENTIALのエンジニアチームでは、今期のロードマップの中で「エンジニアリングの生産性の可視化」を目標にしています。ロードマップを見ながら、目指したい理想形、今やるべき現実的なこと、具体的にどんなことをいつまでになぜやっていくか、どんなところに工数をかけるかなどを話しながら、ロードマップ自体を副業メンバーと一緒に作り上げているものも多いです。

副業メンバーの方も、実は本業でも同じような課題に向き合っておられたり、過去にやったことがあったりなど、ご経験とリンクするような形でアサインするというのも気をつけています。

副業メンバーに働いていただく上でも、正社員メンバーにとっても、その方にとって再現性のあるミッションがあるということが重要だと思っているんです。

ーー副業メンバーを受け入れてこられた理由や課題は何でしょうか。

やはり正社員でのエンジニアの採用の難しさはあります。採用難の状況と、自社の成長に応じた難易度の上昇。

また、正社員メンバーを採用しようとしたり、自社で業務委託の方を探す場合には、自社内で「一次面談」「二次面談」と面談の回数を重ねていき、その上で判断する必要があります。その時間的なコストが大きく、事業に集中する時間が削られてしまうのが課題でした。

しかしシューマツワーカーからご提案をいただくと、すでにシューマツワーカーにおいてスキルマッチした人材がいる状態になっているんですよね。それが、自社で必要になる時間的なコストの削減になるんです。

副業人材だからこそ、経験を生かして中長期視点の業務を進められた

ーー副業メンバーが入ったことで、よかったことはありますか。

副業メンバーを受け入れてよかったことは、中長期的な視点でのタスクに着手できるようになったことです。

TENTIALは、ECモールもそうですが、実店舗など持っている関係もあり、関わる人が多いんです。また、施策などリアルのモノを扱ってお客様と相対している都合上、急な対応が求められることも多い。自社のリソースは事業優先度の兼ね合いでなるべくそちらに割きたいと思うんです。そうすると中長期的なことに時間をかけるのは難しくなります。同じように重要でも、緊急度の高いものに集中せざるをえないからです。

でも、副業メンバーには、その中長期的なタスクに集中して取り組んでもらうことができます。しかも、様々な環境で培った「経験」を持った、シニアレベルの人材にお願いすることができる。それはとても助かっています。

ーー副業メンバーの受け入れにあたって不安はありましたか。

実は、初期には少し課題がありました。当初業務面で、「次は何をやればいいですか」「次に必要なことは何ですか」というコミュニケーションが頻繁に起きていたんです。

ーーどのように解決したのでしょうか。

中長期的なチームのミッションを見える化し、ロードマップ運用を開始したことは効果的でした。先ほどの「次は何をやればいいですか」というコミュニケーションから、「次はこれをやっておきますね」というコミュニケーションにガラッと変わったんです。ロードマップ運用は副業メンバーのために始めたわけではなかったのですが、結果的に、正社員メンバーも副業メンバーも働き方が良い方に変わる契機となった気がします。

また、ロードマップ運用を始めることによって、僕たち自身も「全社のミッション達成に近づけるプロダクトを作っていくためには?」ということをしっかりと考えることができるようになりました。

1年計画、数ヶ年計画でなりたい姿を描き出し、そこから四半期ごと、チームごとのミッションに落とし込んでいく。その全体像を全員で共有しつつ、自分のやるべきことを見つけ、考え、それぞれがやっていく。ロードマップ運用は、正社員メンバーの成長に繋がり、副業メンバーの活躍を引き出すことにも繋がりました。もっと最初からやっておくべきことだったとも思いました。

ーーシューマツワーカー経由で副業メンバーと契約したからこその、良さはありましたか。

シューマツワーカーの良さは、とにかく提案の速さです。それから、その提案される人材の、的確さ

カスタマーサクセスの担当者が代わってもそれは変わらず、シューマツワーカーに依頼すると「早い」「的確」。僕のふわっとした要求からでもしっかりと募集要件を出して、良い人材、的確な人材を提案してくれますね。それは本当にそう思います。

また、稼働状況が可視化されることもありがたいです。個人の業務委託さんなどでは、月額でのお支払いで、月内の業務内容がブラックボックス化し、結果的にお互いの信頼関係が崩れてしまうこともありました。

しかしシューマツワーカーでは、稼働状況が見える化されるシューマツワーカー独自のシステムを使えるので、お互いに信頼しながら契約を継続することができると感じています。

ソフトウェアで完結せず、リアルの世界に繋がるECサービスの開発とは

ーーここからは、具体的にTENTIAL様のエンジニアチームの構成や、業務、技術面について教えていただけるでしょうか。

TENTIALの場合、全てTypeScriptで書いているということもあり、フロントエンドエンジニア、バックエンドエンジニアという区別はしていません。ミッション単位でチームを構成しています。

20名のうち17名のメンバーがEC事業に携わっていて、ECに関わることであれば誰が何をしても良い、という体制でやっています。もちろん大枠は定まっている人もいますが、チームや役割を固定する考え方ではなく、課題に対して柔軟にチームを編成していくような、ホラクラシー的な組織を目指しています。

ーーどのようなミッションがあるのでしょうか。

具体的には、VOC(顧客の声)を改善していったり、管理画面の仕組みを作り替えたり、サイトのパフォーマンスの向上をさせたり。多様な仕事が含まれます。

さらに、TENTIALで特徴的なのはSCM(在庫管理)の仕組みも自社で開発していることです。SCMというのは複雑で、たくさんの要素を管理する必要のあるシステムなんです。カラムがめちゃくちゃたくさんあります。

例えばSKU(カラー種別)の管理など、たくさんのパターンがあるほどに、それぞれを適切に管理する必要が出てきます。何がどこから入ってくるのか、どういう発注をするのか、いつ販売までするのかといったオペレーション。さらに業務面からすると、誰がいつどれだけ発注するのかといったことも管理していきたいわけです。

僕たちはECサービスとして、バーチャルで完結しないのが特徴です。リアルにモノがある、ということは、それが工場で製造され運輸されるリードタイムもあり、なおかつそれらがお客様に届くまでを正確に把握しないといけないわけです。在庫管理をシームレスにやっていくことはできないか。こうした課題に向き合うのがSCM開発の業務です。

決済についても主にStripeやAmazonPay、GMO 後払いなどを使っていますが、主なDB基盤は自社で担っていたり、サブスク、予約管理のようなシステムは自社で開発・管理しています。

業務システムに手を入れるエンジニアもいれば、施策やパフォーマンス、品質に向き合うエンジニアもいる。エンジニアチームの業務としては、領域はある程度決めてはいても、向き合う課題は流動的にそれぞれやってもらっています。要望があれば専属で動いて頂くこともありますが、ずっとSCMだけ、パフォーマンス向上だけ、というキャリアも嫌だと思うんです。

それに、さまざまな業務に携わることで個人個人のスキルや知見も向上し、「顧客に提供できる価値とは何か」という総合力が必要な本質的な課題への向き合い方が身に付き、事業の成長に対して力を発揮できます。

ミッションに対して四半期ごとにチームを編成し直す。TENTIALの独特なエンジニア組織

ーー課題はどのように見つけるのでしょうか。

大枠では四半期ごと(3ヶ月に一度)に、「今四半期は自分達は何をすべきか / 何をしたいか」をプロダクトチームを巻き込んで議論します。そこでチームミッションのようなものを決めています。

さらに上段の前提としては、年間計画というか、数か年で何を実現したいのかを全社的に共有しています。そこから何をしたいかを現実に落とし込んでいく。そして四半期にやるべきこと / やりたいことを決めるんです。

そして、チームもこの四半期ではどういう編成にするか、という考え方で、見直します。やること(ミッション)× チーム、というホラクラシー的な組織体制を実践しているんです。事業に関連することは誰もがなんでもやる、という状態を理想にしつつ、固定しない組織を目指しています。

そして常に、いちばんベースには「顧客にどう還元できるか」を問いかけること。顧客価値、ミッションを単位としてチームを組み、さらにそれを四半期ごとに見直す。こうして流動性を持たせることによって、メンバーの育成やチームの成長に繋げていきます。

D2Cというのはよく「総合格闘技」と言われたりします。オンラインはもちろん、オフラインもある。最近、実店舗を展開したのですが、実店舗に関わることだって必要になってくる。そうした全体感をエンジニア全員が持っていることが、会社の強みになると思っています。

個人における具体的な進め方や期待する行動としては、職能ごとのグレード、グレードに応じた期待値などもあります。ミッション達成における行動ツリーというのがあって、誰がどのくらいコミットすべきかを明確にするようなことも試みています。

このようなミッション駆動の組織作り、役割・期待値の明確化を進めていく上で、経験豊富な副業メンバーに入ってもらい、ロードマップを作ることができたのはとてもよかったです。TENTIALにはジュニアレベルのエンジニアもいると言いましたが、全員の成長を促しながら、組織としても成長していく、その基盤ができてきていると感じています。

シューマツワーカーでは、約 38,000人(2022年9月現在)の豊富な副業人材データベースから、企業様のご希望に沿った人材をご紹介しています。

TENTIAL様のお話をヒントに、

✔️正社員採用の難しい、優秀なエンジニアと働きたい
✔️自社の課題にマッチする経験を持つ副業人材がいるか知りたい
✔️こだわりのチーム体制に合わせて働いてくれる人材を紹介してほしい

という企業様は、ぜひお問合せ、ご相談くださいませ(相談は無料です)。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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