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エン・ジャパン株式会社の新規事業 pasture チームが副業社員と一緒に働く理由
エン・ジャパン株式会社の新規事業「pasture(パスチャー)」のチームでは、シューマツワーカー…
2020.01.30
2023.08.02
ECサイトに特有の「レコメンド」「レビュー」「サイト内検索」などの機能を提供し、日本のさまざまなECサイトを使いやすく・買いやすくしているIT企業、ナビプラス株式会社様。2010年創業の、「テクノロジーで、+(プラス)あふれる未来へ導く」というミッションを掲げています。
今回はそんなナビプラス株式会社様のシステムの”基盤”をなす、インフラを支えるチームにフォーカスし、エンジニアの正社員採用が困難を極める中どのようにリソースを確保して、「重要度は高いが緊急度が低い」後回しになりがちなたくさんのタスクを解消し、インフラの改善につなげていかれたのか、ナビプラス株式会社 インフラグループ マネージャー 佐竹優一様にお話を伺いました。
Contents
ー 今日はお時間ありがとうございます! はじめに、ナビプラス様の事業について教えていただけますでしょうか。
佐竹 ナビプラスは、EC事業者向けに各種ソリューションを提供しています。
ECサイトには、サイトに来訪して商品を見てくれるお客さんが、買い物をしやすいように、特有のさまざまな機能がありますよね。ナビプラスが提供しているのはそういった機能の「裏側」にあたります。
主なサービスは、商品の検索ができる「NaviPlusサーチ」、おすすめや人気ランキングを出す「NaviPlusレコメンド」、商品へのレビューや投稿を管理できる「NaviPlusレビュー」、カゴ落ちメールをお送りできる「NaviPlusリタゲメール」、その他にも・・・。
ー たくさんのプロダクトラインナップがありますね!
佐竹 そうなんです。10以上のサービスがあります。
ー ナビプラス様が提供している「裏側」というのは、どういうことなんですか?
佐竹 少し説明が難しいかもしれませんが、「NaviPlusサーチ」で説明してみます。例えば検索すると、検索窓にサジェストが出てきますね。これはECサイト内でのお客さんの興味をきちんとデータ分析して、自動で表示する仕組みを作る必要があるんですが、この仕組みを、ECサイトに「NaviPlusサーチ」のコードを埋め込んでいただくことで、提供するんです。
流れとしては、こんな感じです。ECサイトに訪れたお客さんが、サイト内の検索で、単語を打ち込みます。すると、「裏側」に埋め込まれた私たちのシステムエンジンが呼び出されて、検索窓にサジェストを表示する。
ー なるほど。表には見えづらいかもしれませんが、ECサイトの様々な場面の「裏側」で動いているシステムなんですね。
佐竹 「NaviPlusレビュー」の場合なら、ECサイトに埋め込んでいただいたナビプラスのシステムコードが呼び出され、レビューの情報が整理されて表示されます。「NaviPlusレコメンド」なら、これを「裏側」に埋め込んでいただくと、ナビプラスのエンジンが働いて、最適な結果を出して、ECサイトの表側に出していきます。
ー ECサイトはかなり一般に普及しましたし、様々なブランドやメーカー、お店が持ち始めている印象がありますが、各社がゼロから構築していたら大変だなと思っていました。
佐竹 そうです。実は「裏側」を提供している会社があって、各店がスムーズに「表」に当たるECサイトを出せるようになったといえるかもしれません。
ー 佐竹様の役割について教えていただけますか。
佐竹 私はインフラグループのマネージャーをしています。インフラグループでは、ナビプラスの全てのサービスのインフラをカバーしています。
ー 10以上ある全てのサービスにおいて、インフラは共通ですか? 異なっているのでしょうか?
佐竹 インフラの構成は、サービスごとにバラバラにしてあります。インフラのリソースはそれぞれ別ですし、AWSなどのアカウントも別です。
ー インフラに詳しくないので教えていただきたいのですが、サービスごとにリソースやアカウントを「分ける」という考え方は、インフラにとって基本的なことですか?
佐竹 以前は一つにまとめていたこともあるんですが、例えば代表的なクラウドインフラとして我々が活用しているAWSなどは、「アカウントをワークロードごとに分けること」を推奨していて、それがインフラとしてのベストプラクティスとされています。ですから、それに向けて改善していった結果、現在はサービスそれぞれに対し、しっかりとしたインフラ体制を構築しています。
▶︎ ワークロード(workload)とは
ワークロードは、リソースと、ビジネス価値をもたらすコード (顧客向けアプリケーションやバックエンドプロセスなど) の集まりのこと。(参考:AWS公式サイト)
ー 佐竹様のご入社のタイミングや、当時のインフラの状況はどのようなものでしたか?
佐竹 私は、ナビプラスに2016年8月に入社いたしました。当時は、インフラはオンプレだったんです。当時比較的新しかった一部のサービスは、初めからAWSで構築していましたけれど、そのほかはオンプレでした。社内にインフラ設備を持つ、昔ながらのインフラのイメージです。現在は全てクラウドですから、少しずつ時代に合わせた変化や改善を繰り返した結果、随分と変わってきました。
▶︎ オンプレ(オンプレミス)とは
自社内にサーバなどのIT設備を備え、運用・管理などを行う体制のこと。現在はクラウドインフラサービス(AWSやGCPなど)を活用する企業も多い。
ー 今のインフラチームはどのような組織体制ですか。
佐竹 私を含めて4名です。プロダクトごとにインフラ業務を担当します。プロダクトは10以上ありますから、当然、一人1プロダクトというわけにはいきませんが、サービス規模の大きい「NaviPlusサーチ」と「NaviPlusレコメンド」はインフラの規模も大きいためそれぞれ1名ずつが担当、その他のサービスはまとめて1名が見ています。その上で、私が全体を見ているという体制です。
その他に溢れてしまうタスクがあるため、シューマツワーカーで副業メンバーを探し、お任せしているタスクがあります。
ー 少人数でそれだけの数のプロダクトをカバーするというのはすごいですね。
佐竹 あまり実感はないんですが、「すごい」と言われることが多いです。
ー 少人数でやりきる秘訣はありますか?
佐竹 Devチームと呼んでいる、プロダクト開発のエンジニアたちの協力が大きいです!
以前よりはだいぶ少なくなったのですが、システムを運用していると、いわゆる「オンコール対応(アラート対応)」という緊急対応や障害対応が必要になる場合があるのですが、ナビプラスではDevチームのメンバーも積極的に対応してくれます。だからやれていると思いますし、「みんなでやっていこう」というありがたいチームカルチャーがあります。
ー Devチームの組織はどうなっているのでしょうか。
佐竹 プロダクトによってバラバラです。兼任もあったりして難しいのですが、「NaviPlusサーチ」と「NaviPlusレコメンド」は7〜8名、そのほかのサービスは2〜3名といった体制です。Devはほぼプロダクトごとのチーム体制となっています。
ー インフラについて、プロダクトごとに技術的な違いはありますか? それともそこは共通しているのでしょうか?
佐竹 「NaviPlusレコメンド」「NaviPlusリタゲメール」「NaviPlusレビュー」に関しては、言語は主にRubyを使っています。「NaviPlusサーチ」だけ、主にPHPを使っています。
この違いは、サービスの歴史的経緯によるものです。もともとナビプラスは「NaviPlusレコメンド」がメインでスタートしている会社なのですが、M&Aで「NaviPlusサーチ」の元になるサービスを提供していた会社を吸収合併して、サーチも一緒になったんです。スタートの入り口が違うので、アーキテクチャや言語が異なるものになっています。
ー そういう背景もあるんですね。
ー エンジニアの採用活動はどのようにされていますか?
佐竹 必要なタイミングでエージェントや媒体で募集をします。基本的にはエンジニア部門で進めていきます。プロダクトチームごとにそれぞれ動き始める・・・という雰囲気です。インフラチームでメンバーの採用が必要、となった場合には、私や私の上長が実際に動いて採用活動をしています。
ー 副業人材を受け入れられたのは、どういった背景があったのでしょうか?
佐竹 やるべきことに対してリソースが足りていなくて、当初は「リソース補充」を目的にしていました。
でも、実はシューマツワーカーへ相談し始めたときも、「正社員前提で考えたい」ということは伝えていたんです。でも、今はとにかくエンジニアの正社員採用は難しいです。シューマツワーカーで、「副業であれば」ということで興味を持ってくれる優秀な方がいて、稼働をスタートしていただきました。
ー はじめは正社員採用を前提とされていたんですね。
佐竹 なので、最初はエージェントと話をしたりなど、採用活動を進めていったんです。当社の場合は過去の実績だと、エージェント経由で決まることが多かったので。
ただ、昨今はどこの企業でもそうかもしれないんですが、ある程度経験のあるエンジニアを正社員採用するのは非常に難しいとわかりました。自社が求めているような優秀な人材は引く手数多なんですよね。採用となると大変です。
ー 過去の採用活動で、採用がうまくいかずに業務委託人材や副業人材に仕事を依頼する、という経験はおありだったんでしょうか?
佐竹 インフラチームでは初めてのことでした。ですが、開発チームの方ではあったんです。そういう実績があったので、正社員・業務委託問わずに、成果を上げることができるだろうという認識はありました。
ですが、引き続き「正社員採用したい」という思いも持ち続けています。
チームの中に業務委託の方は増えてきているんですが、でもやはり業務委託”だけ”では、ノウハウの蓄積などの観点で不安も感じます。ですから、採用の難易度とのバランスだと思っています。
ー 正社員と業務委託人材だと、渡せるタスクに違いが出てくることはありますか。
佐竹 セキュリティ観点で権限を絞る必要があるケースもあります。インフラは比較的、強い権限を持たないとできないことも多いので、その点でどうしたらいいか、当初悩んだ部分もありました。今回、副業メンバーがチームに入るのは初めてでしたから。
ー どのように対応しましたか?
佐竹 チームでどうすべきかという議論をしました。ただ、やりやすかったのは、最初に担当していただいたレコメンドサービスが、ワークロードごとにアカウントが分かれていましたし、権限を区分しやすい環境にあったことでした。本番環境と開発環境がしっかり分かれていた構造だったことも幸いしました。開発環境のみで開発を進めていただくことがしっかりとできましたから。
ー 副業メンバーなどの業務委託人材に対して、「どのように / どのような仕事を振ればいいか」悩まれる企業も多いです。
佐竹 よくわかります。インフラチームでは、既存のメンバーは常に定常の運用業務、アラート対応や緊急の対応等に追われてしまう実態があります。ですので副業メンバーには、そこで溢れてしまう「急ぎではないけれどいつかやらなくてはならない」タスクを、どんどん引き受けていただいています。
ー 重要度は高いけれど緊急度が低いタスクを副業メンバーが進めていくんですね。
佐竹 インフラはタスクが結構多いんです。「やらなくてはならない」けれど「急ぎでない」タスクも多いですが、こういうタスクは後回しになりがちです。例えば、インフラで使っているツールのバージョンアップ、コードのリファクタリングなどは、とても重要なんですが、通常業務で手一杯の状態ではなかなか手をつけられません。
それから、今、私たちのチームではインフラを「コード化」していくことを進めているんです。具体的には、これまで個別対応していたようなリソースを、「Terraform」などを使ってコード(プログラム)に置き換えていくんです。
ー 「コード化」というのは、従来のインフラ業務と異なるのですか?
佐竹 従来のインフラ業務というのは、「作業手順書」に従って手作業でインフラを構築していく方法が当たり前でした。
その方法の課題としては、「手順書」に依存する作業になってしまい、例えば「手順書」に漏れがあったり、「手順書」を更新しないままリソース側の設定を変えてしまう部分が出てきたりすると、他のメンバーによって均質的な対応ができなくなってしまうことです。つまり、属人化が起こりやすい方法でもあったんです。
そうした属人的になりがちなやり方から、「コード化」していくと、「見える化」が進みます。インフラの「コード化」とは、誰もが対応できる管理の仕組みに変えていくことなんです。
ー インフラの改善の一つなのですね。
佐竹 はい。こうした「コード化」への取り組みも、やらなくてはならないし、やった方がいい。けれど、緊急ではありません。インフラは改善を重ねることが重要ではありますが、一方でシステムが動いている限りは、アラート対応などに追われて改善が後回しになる改善タスクも多いんです。
そこで活躍してくれるのが、副業メンバーでした。こうした作業は非同期で進めていただくことができますし、権限やセキュリティの問題もクリアしやすく、副業メンバーにも渡しやすくて、改善が進むことで非常に助かる業務です。
ー 副業メンバーが入ったことでの成果はありましたか?
佐竹 副業メンバーの成果は数えきれないくらいあります!
使っているミドルウェアのコード管理ツール「Terraform」のバージョンアップ、コードのリファクタリング、アプリサイドの構成管理ツール「Ansible」のバージョンアップ、「Terraform」のコード化などなど。これらは副業メンバーがいなくては進みませんでした。
ー 副業メンバーの働きというのは、期待通りでしたか?
佐竹 それは想定以上でした!
入ってもらった当初、チームとして不安に思っていたこともありました。作業について、きちんと理解して進めてもらえるか、きちんとこちらとしてフォローしきれるか、といったことです。でも心配は全く不要でした。
私たちの方から、ある程度ふわっとした状態でお願いをしても、副業メンバーは理解して、動いてくれるんです。もしもわからないところがあれば、すぐに適切な質問をして不明点を解消し、自ら動ける状態にしていく、という動きをしてくれました。
もしも迷う部分があっても、A案・B案というような形で選択肢と理由を提示してくれました。現状の構成はこうなっていますというのも、迅速にまとめてくれました。
壁打ちや相談などもしてもらっていて、技術的なアドバイスやコンサルティングのようなことまでしていただいています。技術論だけではなく、エンジニアの組織作りについてもです。
それは、もちろんご本人がそれだけスキルフルでスペックの高い方だということもあると思うのですが、副業メンバーが本業に携わりながら関わっているからこそ、頼りになる面もあると思っています。本業で同じように悩んだり経験を重ねているからこそ、情報交換だけでなく、議論し合えるのではないかと思います。
ー シューマツワーカーでよかった点はありますか?
佐竹 副業メンバーに入っていただいて非常に助かっていますので、このメンバーを紹介してもらえたことが、いちばん大きいです!
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最後までお読みいただきありがとうございました。