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副業社員を採用する際に見るべき点とは
正社員を採用する際に見るべき点は、スキルや経験、カルチャーフィット、ビジネスマインド…
2020.07.04
2026.03.19
「採用コストをかけても、なかなか良い人材に出会えない」
「入社後すぐに辞めてしまい、また採用活動を一からやり直し」
——そんな悩みを抱えている人事担当者の方は、少なくないのではないでしょうか。
採用コストは年々上昇している中、それだけのコストをかけてもミスマッチや早期離職が起こってしまっては、企業にとって大きな痛手ですよね。
こうした課題に対して、近年ふたたび注目を集めているのがリファラル採用です。すでに多くの企業で試みられている施策として、認知度もあがってきています。
とはいえ、
「制度を作ってみたものの、なかなか社員が紹介してくれない」
「運用が形骸化してしまっている」
という声も多く聞かれます。リファラル採用をうまく機能させるには、ただ制度を設けるだけでなく、しっかりとした設計と運用がカギです。 この記事では、リファラル採用の基本的な考え方から制度設計のポイント、よくある落とし穴、採用力をさらに高める発展的な戦略まで、実践に役立つ内容をお伝えしていきます!
Contents
「リファラル採用」は社員紹介制度と混同されることがありますが、両者には明確な違いがあります。社員紹介制度が人材の「紹介」とそのインセンティブ設計を中心に据えた仕組みであるのに対し、リファラル採用はより戦略的な採用手法として位置づけられます。
社員のネットワークを組織的・継続的に活用し、採用の質と定着率を高めることを目的とするものであり、インセンティブ設計はその一要素にすぎません。
社員が「紹介したい」と思える職場づくりや情報発信の仕組みまでをトータルで設計することが、リファラル採用のポイントです。
少子化による労働人口の減少や転職市場の活性化を背景に、採用競争は激化の一途をたどっています。
そんな中、2024年を対象にしたある調査によると、リファラル採用を「実施している」と回答した企業の割合は、2018年の41.7%から2025年には62.5%へと、約20ポイント以上増加しました(*1)。
*1 「リファラル採用の実施状況に関する企業規模・業界別統計レポート2025年版」 株式会社TalentX https://mytalent.jp/lab/resource_337/
特に、専門職や採用難易度の高い職種ほど「応募者の質の担保」を目的にリファラル採用に取り組む傾向があり、スタートアップや中小企業においては採用コスト削減という観点でも有効な手法として認識されています。
また、転職サイトやエージェントに登録していない「転職潜在層」へのアプローチ手段としても、その価値が見直されているということです。
リファラル採用の最も直接的なメリットは、採用コストの削減です。求人広告の掲載費用や、人材紹介会社への成功報酬(年収の30〜35%が相場)がほぼ不要になり、かかるのは主に社員へのインセンティブのみ。
最終的に採用が成立した場合にだけコストが発生するため、費用対効果の面でも非常にメリットがあります。
リファラル採用のメリット②|カルチャーフィットしやすい
社員自身が「一緒に働きたい」と思える人材を紹介するリファラル採用では、入社前から社風や業務の実態が伝わりやすく、カルチャーミスマッチが起きにくいという特徴があります。
ミスマッチが減ることにより、早期離職リスクを下げる効果が期待できます。
また、海外の研究(Schlachter & Pieper, 2019)では、リファラル採用によって採用された社員の職務満足度や組織コミットメントが高まるだけでなく、紹介した社員自身のエンゲージメントも向上するという知見が示されているそうです(*2)。
リファラル採用は採用コストの削減にとどまらず、組織全体の活性化にも寄与する手法といえます。
*2 人材研究所「リファラル採用とは|論文から紐解く設計・運用の教科書」 https://jinzai-kenkyusho.co.jp/lab/1196/
優秀な人材ほど現職でも活躍しており、明確に転職の意思のない「転職潜在層」となっていることも多いのが現状です。こうした層は、従来の採用手法ではほぼアプローチ不可能ですが、社員の人脈を通じたリファラル採用であれば、ダイレクトに声をかけることができます。
「転職は考えていないが、面白いプロジェクトや企業があれば話を聞きたい」という優秀な人材との接点をつくれるのは、リファラル採用ならではの強みです。
リファラル採用で気をつけたいのは、選考の過程で不採用となった場合に、紹介した社員と応募者(友人・知人)の関係性が悪化する可能性があることです。
これを防ぐためには、不採用の連絡方法や選考プロセスの透明性を事前に設計しておくことが大切です。「誰がいつ連絡を入れるか」「紹介者へのフィードバックをどうするか」まで含めてフローを整備しておきましょう。
社員のネットワークに頼る採用は、既存メンバーと似た背景・価値観を持つ人材が集まりやすくなるという側面もあります。多様な視点や経験を組織に取り込みたい場合には、リファラル採用だけに頼らず、他の採用チャネルとのバランスを意識することが重要です。
制度を整備しても、社員への周知不足や定期的なコミュニケーション不足から、「気づいたら誰も紹介してくれていない」という状態になるケースも少なくありません。リファラル採用は一度作って終わりではなく、継続的に運用し続ける仕組みが必要です。
リファラル採用がうまくいっている企業の共通点として、まず挙げられるのが「社員が自社を誇りに思っている」ことです。報奨金の金額を上げれば社員が紹介してくれる、というわけではありません。社員が「友人にも勧めたい職場だ」と感じられるような、日々の職場環境や文化の整備が、制度設計の根本にあります。
採用施策として取り組む前に、まず自社の従業員エンゲージメントの状態を確認してみることをお勧めします。
紹介した社員が「その後どうなったかわからない」という状態は、次の紹介へのモチベーションを著しく下げます。選考の進捗状況を紹介者に随時共有する仕組みを作り、応募者の体験と同時に「紹介者の体験」も丁寧に設計しましょう。
具体的には、「紹介から○日以内に一次連絡」「選考通過・不通過のタイミングで紹介者にも連絡」「採用決定時はお礼の連絡とインセンティブ手続きを迅速に」といったフローをマニュアル化しておくことが有効です。
求める人材像が曖昧だと、社員も「誰を紹介すればいいかわからない」という状態になります。職種・スキル・経験年数だけでなく、「こういう価値観や働き方の人が活躍している」という具体的なイメージを社員に伝えることが大切です。
社内説明会や定例の情報共有の場で「今こんな人を探しています」と伝えることで、社員が具体的に頭の中で「そういえばあの人が当てはまるかも」と考えるきっかけになります。
不採用となった場合の丁寧なフォローはもちろん、採用後も「紹介者と入社者が良好な関係でスタートできる」よう、オンボーディング段階での配慮も重要です。紹介者が「良い紹介をして良かった」と思えれば、次の紹介にも積極的になってもらいやすくなります。
リファラル採用は人事部門だけが推進するものではありません。実際に「一緒に働きたい」という感覚を持っているのは現場のマネージャーや社員です。現場を巻き込み、「採用は全員の仕事」という文化を育てることが、制度の定着につながります。
マネージャー向けに「こういう人材を探している」という情報を定期的に共有したり、紹介実績のある社員を社内で称賛する仕組みを作ったりすることが、長期的な運用の鍵になります。
リファラル採用制度を整備しても、なかなか紹介が生まれない企業に共通してみられるのが、「自社の魅力を外に発信できていない」という課題です。社員が友人・知人に自社を紹介するためには、まず「この会社は良い会社だ」「あの人にも合うかもしれない」という確信が必要であり、そのためには会社側からの継続的な情報発信が欠かせません。
社内の取り組みや事業の方向性、社員インタビューなどを発信するオウンドメディアやSNSの活用は、採用広報としての役割だけでなく、社員のエンゲージメント向上や会社への誇りの醸成にも貢献します。
実際に、情報発信を強化した企業では、社員が「これを友人に見せて誘った」「SNSで拡散したら知人から連絡が来た」という形でリファラル採用につながるケースが増えています。
ただし、情報発信を継続するのは、想像以上に負担のかかることです。「担当者が忙しくなったら更新が止まった」「記事を書ける人が社内にいない」というのはよくある状況です。
ここで注目されているのが、ライティングやSNS運用・広報戦略などの専門スキルを持つ業務委託人材の活用です。社内の人事・広報担当者が戦略や方向性の設計に注力しながら、実務の一部を業務委託人材に担ってもらう形は、少人数体制の企業でも質の高い発信を継続できる合理的な体制です。
リファラル採用がうまく機能している企業には、こうした情報発信の仕組みが機能しているケースが多く見られます。オウンドメディアや採用ページの定期更新、SNSでの採用担当者・社員による発信、そして社員が発信コンテンツをシェアしやすい環境と文化——これらが積み重なることで、社員の「紹介したい」という気持ちが自然と育まれていきます。
「採用広報」と「リファラル採用」は切り離して考えるものではなく、相互に支え合う採用戦略の両輪です。「発信できる組織」をつくることが、リファラル採用を加速させる根本的な土台になります。
リファラル採用は、採用コストの削減、カルチャーフィットの向上、転職潜在層へのアプローチという3つの強みを持つ、非常に有力な採用手法です。ただし、「制度を作れば自動的に機能する」というものではなく、継続的な運用と社内文化の醸成が不可欠です。
特に重要なのは、「社員が自社を誇りを持って語れる状態にあるかどうか」という点です。そのための情報発信体制を整備し、業務委託人材なども活用しながら継続的に自社の魅力を発信することが、リファラル採用を活性化させる根本的な土台になります。
採用戦略に正解はありません。しかし、「人材との長期的な関係を丁寧に築いていく」という姿勢は、どの手法においても共通する成功の本質です。リファラル採用をきっかけに、自社の採用・組織戦略を見直してみることが、次の採用成功への第一歩になるかもしれません。

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