採用単価(CPH)とは?計算方法と削減するための具体的な施策を考える!

「求人を出したけれど、思ったより採用コストがかさんでしまった」
「そもそも自社の採用単価がどのくらいなのか、実は把握できていない」

このような経験や悩みをお持ちの経営者・採用担当者・人事責任者の方は、決して少なくないのではないでしょうか。

採用活動にかかるコストは、求人広告費や人材紹介手数料など「見えやすい費用」だけではありません。社内の担当者が費やした時間、面接官の人件費、研修コストなど、実に多岐にわたります。こうしたコストを正しく把握し、管理・改善していくための指標といわれているのが、「採用単価(CPH:Cost Per Hire)」です。

この記事では、採用単価の基本的な定義と計算方法から、コストが高くなりがちな原因、そして削減に向けた具体的な施策まで、体系的に見ていきます。

採用単価(CPH)とは何か?基本的な定義

採用単価(CPH:Cost Per Hire)とは、従業員1名を採用するためにかかった費用の総額を指す指標です。採用コストや採用CPA(Cost Per Acquisition)と呼ばれることもあります。

一見シンプルな指標に思えますが、この数字を正確に算出・管理できている企業は、意外と多くありません。多くの企業では、外部に支払った費用(求人広告費や人材紹介手数料)だけを「採用コスト」として捉えがちですが、実際には社内でかかるコストも含めて考える必要があります。

なぜ今、CPHの管理が重要なのか?

採用単価の管理が重要視される背景には、採用市場の構造的な変化があります。

厚生労働省が公表している「令和6年版 労働経済の分析」では、2022年以降、労働力需要の回復が労働力供給の伸びを上回り、労働力需給ギャップが再びマイナスに転じていることが指摘されています。つまり、すべての求職者が就職しても企業の必要とする人材が不足するという、構造的な人材難の時代が続いているのです(*1)。

*1 厚生労働省「令和6年版 労働経済の分析 ―人手不足への対応―」 https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/roudou/24/24-1.html

このような「売り手市場」が続く中、採用難易度は高まり、採用にかかるコストは全体的に上昇傾向にあります。限られた採用予算の中で、いかに効果的に優秀な人材を確保するか。CPHを正確に把握・管理することは、採用活動を「感覚」ではなく「データ」で意思決定するための基盤となります。

採用単価の計算方法は?外部コストと内部コスト

基本計算式

採用単価の計算式はシンプルです。

採用単価(CPH) = 採用コスト総額 ÷ 採用人数

ここで重要なのは、分子となる「採用コスト総額」に何を含めるか、そして分母となる「採用人数」をどう定義するかです。

「採用人数」は、内定者数ではなく、実際に入社した人数を使います。 内定辞退が多い場合、採用活動にかけたコストはそのままでも入社人数が減るため、採用単価は必然的に高くなります。

分子となる採用コストは、大きく「外部コスト」と「内部コスト」の2つに分類されます。

採用コスト総額の内訳① 外部コスト

外部コストは、採用活動に関わって社外に支払う金額です。以下のような項目にまとめられます。

  • ・求人媒体への広告掲載費
  • ・人材紹介会社(エージェント)への成功報酬
  • ・ダイレクトリクルーティングサービスの利用料
  • ・合同説明会・採用イベントへの出展費
  • ・採用管理システム(ATS)の利用料
  • ・採用パンフレット・採用サイトの制作費

外部コストは請求書や領収書で金額が明確なため、比較的集計しやすいコストです。特に大きな割合を占めやすいのが人材紹介会社への成功報酬で、一般的な相場は採用した人材の理論年収の30〜35%程度とされています(*2)。

*2 リクルートエージェント「人材紹介の手数料の相場はどれくらい?仕組みや計算方法に関しても解説」 https://www.r-agent.com/business/knowhow/article/28954/

たとえば、年収500万円の人材を人材紹介会社経由で採用した場合、成功報酬だけで150〜175万円程度の費用が発生する計算になります。

採用コスト総額の内訳② 内部コスト

内部コストは、社内で発生するコストです。

  • ・採用担当者の人件費(採用業務に費やした時間分)
  • ・面接官となった現場社員や役員の人件費(面接・評価に費やした時間分)
  • ・候補者への交通費の支給
  • ・社内での懇親会・説明会の開催費
  • ・リファラル採用でのインセンティブ費用

内部コストは見えにくいため見落とされがちですが、採用の全体像を正確に把握するうえで欠かせない要素です。面接官の人件費は以下のように概算できます。

面接官の人件費(概算)= 時給換算の給与 × (面接時間 + 準備・評価時間) × 面接回数

この計算を複数回・複数の面接官分行うと、内部コストも相当な金額になることがわかります。

採用単価が高くなりがちな3つの原因とは?

採用単価を下げるための施策を考える前に、まずはなぜ採用コストが高くなってしまうのかを理解しておくことが重要です。多くの企業に共通して見られる原因として、以下の3つが挙げられます。

原因① 採用チャネルの選定が最適化できていない

採用チャネルにはさまざまな種類があります。求人媒体(転職サイト)、人材紹介会社(エージェント)、ダイレクトリクルーティング、リファラル採用(社員紹介)、自社採用サイトなど、それぞれにコスト構造と特性があります。

問題となるのは、「以前から使っているから」「なんとなく有名だから」という理由で、自社の採用ターゲットや採用したいポジションの特性に合わないチャネルを使い続けるケースです。採用コストの大半を占めやすい人材紹介に過度に依存していたり、効果が薄い媒体への掲載を漫然と続けていたりすることで、採用単価が不必要に高くなってしまうことがあります。

採用チャネルごとの効果(採用決定数や応募数)を定期的に検証し、費用対効果の低いチャネルを見直すことが、コスト最適化の第一歩です。

原因② 選考プロセスの非効率と長期化

選考プロセスが長引くほど、採用単価は上がっていきます。面接回数が多ければ面接官の工数コストがかさみますし、採用活動期間が長くなれば媒体の掲載費もその分増えていきます。

また、選考期間の長さは候補者にとっての「離脱リスク」にもつながります。優秀な候補者ほど複数社から声がかかっており、内定通知が遅れれば他社に決まってしまうことも珍しくありません。内定辞退が増えると採用人数の分母が下がり、採用単価はさらに上がるという悪循環に陥ります。

面接回数の適正化、意思決定プロセスのスピードアップ、ATSの導入による事務処理の効率化など、選考プロセス全体を見直すことが重要です。

原因③ 採用ミスマッチによる早期離職と再採用コスト

採用単価を引き上げる原因として、見落とされがちなのが「早期離職による再採用コスト」です。せっかくコストをかけて採用した人材が短期間で離職してしまえば、その採用コストはすべて無駄になるだけでなく、再び採用活動を一から始めなければなりません

厚生労働省が公表した「新規学卒就職者の離職状況」によれば、大学卒業者の34.9%が入社から3年以内に離職しているというデータ(*3)があります。新卒採用のデータではありますが、中途採用においても早期離職は多くの企業が抱える課題となっています。

*3 厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和3年3月卒業者)」 https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000177553_00007.html

採用そのものをコストで見るだけでなく、「その人材が定着して活躍し続けるかどうか」という視点まで含めてコストを考える必要があります。

採用単価を削減するための具体的施策5選!

採用単価の高騰につながる原因が整理できたところで、ここからは具体的な削減施策を見ていきましょう。

施策① 採用チャネルの見直しと最適化

まず取り組むべきは、現在使っている採用チャネルの棚卸しです。各チャネルについて「応募数・書類通過数・入社数・コスト」を一覧化し、チャネルごとの採用単価を算出してみましょう。費用対効果の高いチャネル・低いチャネルが明確になるはずです。

採用費の中で最も割合が大きくなりがちな人材紹介については、「全ポジションをエージェント任せにしない」方針をもつことも有効です。スキル要件が比較的明確なポジションであれば、求人媒体やダイレクトリクルーティングへのシフトで大幅なコスト削減が見込めることがあります。

施策② ダイレクトリクルーティングの活用

ダイレクトリクルーティングとは、採用担当者自らが候補者データベースにアクセスし、ターゲット人材にスカウトメッセージを送る採用手法です。人材紹介会社に支払う高額な成功報酬が不要なため、外部コストを大幅に削減できる可能性があります。一方で、候補者の検索・選定・メッセージ作成を自社で行う分、内部コストが増える側面もあります。外部コスト削減と内部コスト増加のバランスを意識して運用することが大切です。

施策③ リファラル採用の仕組みづくり

リファラル採用(社員紹介)は、採用コストを抑えられるだけでなく、入社後の定着率が高い傾向があります。紹介者が事前に社風や業務を伝えられるため、採用ミスマッチが起きにくいことがその理由です。機能させるためには、求める人材像の社内周知・インセンティブ制度の整備・紹介しやすい文化づくりといった仕組みが不可欠です。

施策④ 採用プロセスの効率化(ATSの活用など)

採用管理システム(ATS)を導入することで、応募者管理・日程調整・面接評価などを効率化し、採用担当者が事務作業に費やす時間を大幅に削減できます。内部コストの中でも見えにくい「担当者の工数」を圧縮することで、採用単価全体の削減に貢献します。

施策⑤ 副業・業務委託人材の活用——ミスマッチリスクを下げながらコストを最適化する

採用単価の削減に直結する方法として、近年注目されているのが「副業・業務委託人材の活用」です。

通常の採用プロセスでは、書類選考と数回の面接だけで採用を判断しなければならず、「スキルが実業務で発揮できるか」「チームの雰囲気や社風に合うか」を入社前に確認することは非常に困難です。その結果、採用コストをかけて採用した人材が早期離職してしまい、再採用コストが発生するという課題が生まれます。

副業・業務委託という形でまず一緒に働く機会を設けることで、「採用前に実務レベルと相性の両方を確認できる」というメリットが生まれます。実際にプロジェクトを通じて働きぶりを見てから正社員採用を検討できるため、入社後のミスマッチリスクを大幅に低減でき、早期離職による再採用コストの発生を防ぎやすくなります。

また、人材紹介会社への高額な成功報酬を支払わずに優秀な人材と出会えるという点でも、外部コストの削減につながります。副業・業務委託で一緒に働く中でスキルや適性を確認し、相互理解が深まった段階で正社員化を提案するこのアプローチは、採用コストを最適化しながら定着率を高められる、新しい採用戦略として多くの企業に導入が広がっています。

コスト削減だけを目指さない——「採用の質」との両立が大切

採用単価の削減を考えるうえで、一点強調しておきたいことがあります。それは、「採用単価を下げること」自体を目的にしてはいけないということです。

採用単価が低くても、採用した人材が入社後3ヶ月で離職してしまえば、かけたコストはすべて無駄になります。再採用が必要になれば、結果的にトータルの採用コストはむしろ高くなってしまいます。

重要なのは「採用単価」ではなく、「採用コストの対効果(ROI)」という視点です。少しコストがかかっても、長期的に活躍する人材を採用できた場合と、低コストで採用したが定着しなかった場合を比べれば、前者の方がはるかに「採用投資の成果」が高いことは明らかです。

採用単価の最適化とは、ただコストを削るのではなく、「かけたコストに見合う人材が、長く活躍してくれる採用」を実現することです。そのためには、採用チャネルの見直しや選考プロセスの効率化といった施策と同時に、採用後の定着を高めるためのオンボーディング設計や、採用ミスマッチを減らすための手法(副業・業務委託の活用など)をあわせて検討することが、採用戦略全体の質を高めることにつながります。

採用単価を把握し、原因を特定し、施策を実行するというサイクルを継続することが、採用活動を「データ」で改善していく第一歩です。コストを削ることだけを目的にするのではなく、採用の質と効率の両立を意識しながら、自社にとって最適な採用戦略を構築していきましょう。

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