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1,100人以上の人事が登録するOne HRの共同代表が考える、これからの採用人事に求められる責任と覚悟とは?
島崎由真(しまさき・ゆうま)と申します。「One HR」というHR企業や企業人事を束ね…
2019.07.18
2019.07.18
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松村幸弥(以下、松村):高野さんにはシューマツワーカー創業初期からいろいろとアドバイスをいただいたり、本当にお世話になっております!改めてなのですが、簡単に自己紹介をお願いします。
高野秀敏(以下、高野):株式会社キープレイヤーズで代表取締役を務めています高野秀敏と申します。地元・東北大学の経済学部を卒業し、1999年に株式会社インテリジェンスへ入社しました。
インテリジェンスでは人材紹介事業の立ち上げに携わり、転職サポートを行っていました。マネジャーや人事部も担当した後、2005年に独立し、株式会社キープレイヤーズを設立しました。
キープレイヤーズでは、人材エージェントとして活動しています。またそれ以外でも、国内外で30社以上企業で社外役員・アドバイザー・エンジェル投資を実行しています。
松村:20年近く人材業界で活躍されていますよね!昔と今では、転職市場はどのように変化していますか? 特に、IT人材まわりについてお伺いさせてください。
高野:エンジニアに関してですと、需要に対して供給が足りていないという状況は今も昔も変わりません。需要はさらに年々高まっていますね。
結果として最近では、私が投資している企業でも正社員以外の働き方を採用しているところが増えてきました。SESや派遣を利用している人もいますね。
以前から、スタートアップやベンチャーなどのIT企業界隈は、他に比べて柔軟な働き方をしている人が多かったですが、近年はその流れが加速していると感じます。
松村:エンジニアの求人倍率は、スキルによっては10倍を超えるとも言われていますしね。シューマツワーカーでも、「優秀なエンジニアが計画通りなかなか採用できない」という企業からお声がけいただくことも多いです。
松村:今やエンジニアはIT企業だけでなく非IT企業からも引く手数多ですよね。とはいえやはり、IT企業で働きたいというエンジニアの方が多い印象ですがいかがでしょうか?
高野:エンジニア以外の職種では、IT企業/非IT企業関係なく「その企業のサービスが好きだから」という理由で働く人は多いと思います。共感できるサービスを提供しているなら、ITか否かを気にしている人は意外と少ない。ただエンジニアの場合は特殊で、CTOや一緒に働くエンジニアが優秀で尊敬できる人物かも重要視されます。そのため、IT企業に就職したい方が多いです。
松村:僕もよくエンジニアの方とコミュケーションを取らせていただくのですが、優秀なエンジニアがいるところで働きたいという声を多く聞きますね。
高野:あとは、フレックス制度を導入していたり、リモートワークを推奨していたりすることころも好まれますよね。
だから、非IT企業だとしても、実力のあるCTOがいたり、自由な働き方をしているところなら、エンジニアも興味を持つのではと思いますね。もし、CTOになる人材が社内にいないなら、副業社員で採用してもいいと思うんですよね。
ここ1年ほど、転職する前にまず“副業”で企業と関わってみて、業務内容や社風がマッチしたら転職する、という転職の“お試し”を行う方が増えてきました。企業側も、事業フェーズや資金調達などのタイミングによって目の前の人を採用したいかどうか変わると思うのですが、柔軟に稼働時間を調整できる副業は、採用候補者のリレーションにもなるので、ただ優秀なリソースを確保すること以外にもメリットを感じているはずです。
松村:副業をしたい優秀な方はまだまだ余っていますので、その人たちの中からマッチする人材を探すのはかなり有効だと思います。シューマツワーカーでも企業から「え?こんなすごい人がいるの?」というお声をいただくことも少なくありません。
高野:そうですね。ただ、やはりまだまだ「副業でいいから優秀な人を紹介してほしい」という企業は少ないのが現状です。企業にとっては、優秀な方にフルタイムで働いてもらうのが理想です。それが難しい場合の選択肢として、副業社員という手段になっていることが今はまだ多いと思います。
松村:最近はベンチャーだけでなく、大手企業でも副業社員を活用しているところが増えてきたんですよ。彼らにとっても1つのリソース確保の手段として副業社員が少しずつ浸透しつつあります。
高野:おもしろいですね。どういったニーズでご依頼されることが多いのでしょうか?
松村:シューマツワーカーで多いのは、「人が足りてないんだけど、週5日もいらない」というニーズのある企業ですね。
高野:なるほど。僕のところにも、そういう相談は時々きますね。
松村:だから僕たちは、正社員ではなくて「副業社員のコミット量が業務内容的にも金額的にもベストだよね」というケースを貯めていっています。例えば、セールスフォースエンジニアはフルタイムも働かなくて十分な場合も多いですよね。オウンドメディアのシステム運用もそうです。
そこを副業社員に業務を切り出していくことで、今いる正社員のエンジニアに本来注力すべき開発に集中してもらう環境を作れるのです。
松村:最後に、今後企業の採用人事担当者が考えるべきことを教えてください。
高野:これからは正社員だけにこだわっていたら、良い組織を作るのは難しくなると思います。幹となる経営層、そして社員、そこに副業社員やフリーランス、外部顧問などさまざまな働き方の人材を巻き込むことが大事だと思います。そうすると、例えば企業の状況によっては、エンジニアリソースはオフショアで確保するという選択肢になるかもしれません。その選択肢を採用人事担当が提案できるようになればいいですね。
多様な働き方の人材を活用し、総合戦にして、それぞれがメリットを感じられる組織作りが求められると思います。
松村:なるほど。固定観念にとらわれず、事業課題や経営課題から組織作りを本質的に考えるスキルが問われるようになりますよね。今日は、本当にありがとうございました!