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採用ブランディングとは?優秀な人材を惹きつける戦略と実践ステップ

「求人を出しても応募が来ない」
「せっかく内定を出しても辞退される」
「自社より条件が良い大手に持っていかれてしまう」

採用担当者や経営者の方であれば、こうした悩みを一度は感じたことがあるのではないでしょうか

ある調査によると、2026年3月卒の大卒求人倍率は1.66倍と、引き続き学生優位の売り手市場が続いています(*1)。1人の学生をめぐって多くの企業が競い合っている状況で、新卒採用だけでなく中途採用においても、売り手市場が続いているのが現状です。

*1 リクルートワークス研究所「大卒求人倍率調査(2026年卒)」 https://www.works-i.com/surveys/report/250424_recruitment_saiyo_ratio.html

こうした厳しい採用環境の中で注目を集めているのが、「採用ブランディング」という考え方です。採用ブランディングとは、単に求人票の書き方を工夫することではありません。企業の文化・価値観・ビジョンを求職者にしっかりと伝え、「この会社で働きたい」と思ってもらうための、中長期的な取り組みです。

この記事では、採用ブランディングの基本的な考え方から、実践的なステップまでをわかりやすくご紹介します。

目次[非表示]

  1. なぜ今、採用ブランディングが必要なのか
  2. 採用ブランディングとは何か――「採用広報」との違い
  3. 採用ブランディングで期待できる効果は?
    1. 効果① 自社に合った人材からの応募が増える 
    2. 効果② 採用コストを中長期的に下げられる 
    3. 効果③ 社員のエンゲージメントも上がる 
  4. 採用ブランディングの現状――まだまだ差がつく領域
  5. 採用ブランディングの実践ステップ
    1. ステップ① 自社の「強み」と「採用したい人材像」を言語化する
    2. ステップ② 「社員の声」を軸にコンテンツを作る
    3. ステップ③ 発信チャネルを選んで継続的に情報を届ける
    4. ステップ④ 副業・業務委託人材との協働も「ブランディング素材」になる
  6. 採用ブランディングを成功させるための3つのポイント
    1. ポイント① 経営層を巻き込む
    2. ポイント② 「理想」ではなく「リアル」を届ける
    3. ポイント③ 小さく始めて、継続することを優先する
  7. 採用ブランディングは、「選ばれる企業」になるための投資

なぜ今、採用ブランディングが必要なのか

採用市場が厳しくなる中、多くの企業が採用広告費を増やしたり、エージェントへの依存を高めたりして対応しようとしています。しかし、そうした「量の勝負」だけでは限界が来ています。

こちらも新卒採用に関する情報ですが、ある調査によると、採用計画に対する充足状況について「採用予定数を充足できた」と答えた企業は全体の36.1%と、2022年と比べて16ポイント以上も減少。採用数が計画より少ない理由として「選考応募者が予定より少なかった」という回答が最も多く、前年比で14.5ポイントも増加したとのことです。昨今の採用課題の核心は、「内定辞退」等の採用プロセスにおけるものよりも、そもそも「応募してもらえない」という入り口の問題にありそうであることが見えてきます(*2)。

*2 株式会社リクルート 就職みらい研究所「就職白書2024」 https://shushokumirai.recruit.co.jp/wp-content/uploads/2024/04/hakusho2024_0424-2.pdf

この「応募してもらえない」という問題を根本から解決するのが、採用ブランディングです。知名度やブランド力で大手企業に勝てなくても、自社ならではの魅力や価値観をきちんと発信することで、共感してくれる人材からの応募を着実に増やすことをめざすのです。

採用ブランディングとは何か――「採用広報」との違い

採用ブランディングと混同されやすい言葉に「採用広報」があります。両者は似て非なるものです。

採用広報は、求人情報や説明会の告知など、採用活動における「情報発信」を指します。一方、採用ブランディングはもっと広い概念で、企業の文化・価値観・ビジョンを軸に、求職者との継続的な関係を構築し、企業としての「ブランド価値」を高めることを目的としています。

簡単に言えば、採用広報が「今すぐ応募してほしい」ための発信だとすれば、採用ブランディングは「この会社のことが好きになってもらう」ための活動です。

採用ブランディングで期待できる効果は?

採用ブランディングに取り組むことで期待できる効果は、主に3つあります。

効果① 自社に合った人材からの応募が増える 

企業の価値観や文化を正直に発信することで、「この会社の考え方が自分に合っている」と感じる求職者が集まりやすくなります。結果として、採用後のミスマッチが減り、定着率の向上にもつながります。

効果② 採用コストを中長期的に下げられる 

ブランドへの共感で応募が集まるようになれば、高額なエージェント費用や求人広告費に依存する必要が減ります。優秀な人材が継続的に集まる仕組みができれば、採用の効率が大幅に改善します。

効果③ 社員のエンゲージメントも上がる 

自社の魅力を言語化し、外部に発信するプロセスは、既存社員の「自分たちの会社の良さ」への気づきにもつながります。採用ブランディングは対外的な施策でありながら、インナーブランディング(社内の一体感醸成)にも効果を発揮するのです。


採用ブランディングの現状――まだまだ差がつく領域

採用ブランディングへの注目は高まっていますが、実際に取り組んでいる企業はまだ少数派です。

ある調査によると、大企業では57.5%が採用ブランディングに取り組んでいる一方で、中堅企業(従業員100〜1,000人未満)では38.4%にとどまっているそうです(*3)。また採用ブランディングにおける課題の第1位は「リソースが足りない」、第2位が「分析ができていない」という結果。

*3 talentbook株式会社(PR Table)「採用ブランディングにおける取り組み実態調査(2024年2月)」 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000043.000059284.html

裏を返せば、採用ブランディングに取り組むだけで、まだ多くの競合他社と差別化できる余地があるということでもあります。

特にスタートアップや中小企業にとっては、大手企業のように知名度や待遇で勝てなくとも、「働く人の顔が見える」「ビジョンへの共感が高い」「成長機会が豊富」といった独自の強みを発信することで、採用市場での存在感を高めるチャンスが十分にあります。

採用ブランディングの実践ステップ

では、採用ブランディングは具体的にどのように進めればよいのでしょうか。ここでは実践的な4ステップをご紹介します。

ステップ① 自社の「強み」と「採用したい人材像」を言語化する

採用ブランディングの出発点は、自社を深く知ることです。

「なぜ今の社員はここで働き続けているのか」
「入社した社員が驚いた自社の良さは何か」
「どんな価値観を持つ人が活躍しているか」

といった問いに答えを出していくことで、自社ならではの魅力が浮かび上がります。

同時に、採用したいターゲット人材像を具体的に描くことも重要です。「コミュニケーション能力が高い人」のような抽象的な表現ではなく、「どんな価値観を持ち、どんな仕事のやり方を好むか」まで踏み込んで定義することが、ブランディングの精度を高めます。

この「自社の強み」と「求める人材像」を組み合わせることで、採用ブランディングのコアメッセージが生まれます。

ステップ② 「社員の声」を軸にコンテンツを作る

採用ブランディングで最も説得力があるコンテンツは、社員の生の声です。会社が公式に発信する情報よりも、実際に働いている人のリアルなエピソードのほうが、求職者の心に届きやすいからです。

社員インタビューや一日の仕事の流れ、入社前後のギャップ、社内の雰囲気を伝える記事・動画などが有効です。

大切なのは「良いことだけ」を伝えるのではなく、大変なこと・課題も正直に伝えることです。こうすることで、採用した人材が入社後にギャップを感じることが減るでしょう。入社前にリアルな情報を届けることが、定着率の向上にもつながるのです。

ステップ③ 発信チャネルを選んで継続的に情報を届ける

コンテンツができたら、次はどこで発信するかを考えます。採用サイト(採用ページ)の充実は基本中の基本ですが、それだけでは求職者の目に触れる機会が限られます。

前述の調査(*3)では、中堅企業の51.8%がSNSを採用ブランディングに活用していることがわかっています。

LinkedInやX(旧Twitter)、Instagram、YouTubeなど、ターゲットとする人材がよく使うチャネルを選んで継続的に発信することが重要です。

また、自社のオウンドメディアやブログも、検索からの流入を通じて潜在的な求職者との接点を作る有効な手段です。

ここで重要なのは「継続性」です。採用ブランディングは一度コンテンツを作れば終わりではなく、定期的に情報を更新し、発信し続けることで初めて効果が出てきます。

ステップ④ 副業・業務委託人材との協働も「ブランディング素材」になる

採用ブランディングにおいて、見落とされがちな素材があります。それが、副業・業務委託人材との協働実績です。

外部のプロフェッショナルと積極的に協働している企業は、「最先端のスキルを持つ人材が集まる環境」「柔軟な働き方を認める組織文化」として、求職者から高く評価される傾向があります。特に副業やフリーランスを経験している優秀な人材にとっては、「副業・業務委託を受け入れている企業」というだけで、働きやすい環境の証明になります。

副業人材とのプロジェクト事例や、外部人材との協働で生まれた成果を積極的に発信することで、採用ブランディングの素材として活用することができます。さらに、副業・業務委託での協働を経て、正社員採用に至るケースも増えており、採用ブランディングと実際の採用活動を有機的につなぐ仕組みとしても機能します。

採用ブランディングを成功させるための3つのポイント

ポイント① 経営層を巻き込む

採用ブランディングは、人事部門だけで完結する取り組みではありません。企業のビジョンや文化を発信するためには、経営層の言葉や考え方を前面に出すことが不可欠です。代表や役員が自社のビジョン・価値観について語るインタビュー記事やSNS発信は、求職者の信頼を高める上で非常に効果的です。

ある調査によると、ブランディング戦略を進める上で重視するポイントとして、約7割の企業が「社内の一貫した理解と協力」「明確な戦略と目標設定」を挙げており、「経営陣の強いコミットメント」もその次に続いています(*4)。採用ブランディングを成功させるには、人事部門の努力だけでなく、経営全体の取り組みとして位置づけることが大切です。

*4 タナベコンサルティング「ブランディングアンケート調査結果(2024年10〜11月実施)」 https://www.tanabeconsulting.co.jp/brand/brandinsight/column/detail85.html

ポイント② 「理想」ではなく「リアル」を届ける

採用ブランディングで陥りがちな失敗が、自社を過度に美化して発信してしまうことです。求職者は企業のホームページや採用サイトに書かれている情報と、口コミサイトやSNSの情報を比較します。美化された情報と現実のギャップが大きいほど、早期離職や定着率の低下を招くことになります。

「大変なこと」「まだ解決できていない課題」も含めて正直に伝える姿勢が、長期的に見て最も採用ブランディングの成果を高めます

ポイント③ 小さく始めて、継続することを優先する

採用ブランディングを始める上での最大の壁は、「リソースが足りない」という現実です。前述の調査でも、これが最大の課題として挙がっています。完璧なコンテンツを作ろうとするよりも、まずは社員インタビュー1本から始めるなど、小さく始めて継続することが最も重要です。

副業・業務委託のライターやデザイナーを活用してコンテンツ制作を効率化する方法も有効です。採用ブランディングの文脈でも、外部人材をうまく活用することで、リソース不足という課題を乗り越えられます。


採用ブランディングは、「選ばれる企業」になるための投資

採用市場の競争が激化する中で、「求人を出せば人が来る」時代はすでに終わっています。特に中小企業やスタートアップにとって、採用は、待ちの姿勢では成り立たちません

採用ブランディングは、一朝一夕で成果が出るものではありません。しかし、自社の強みと価値観を丁寧に発信し続けることで、確実に「共感してくれる人材が集まる仕組み」が育っていきます。そして、それは採用コストの削減・定着率の向上・社員エンゲージメントの向上という形で、じわじわと経営全体に好影響をもたらしていきます

まずは「自社の強みを言語化する」という小さな一歩から、採用ブランディングを始めてみてください。それが、貴社が「選ばれる企業」へと変わっていくための、最初の大切な一歩になるはずです。


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